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部門長メッセージ
財務・システム部門

財務・システム部門長 鈴木 竜太の写真

JBICが長期・巨額の資金供給やリスクマネーの提供を通じて政策的使命を果たしていくためには、強固で持続可能な財務基盤が不可欠です。財務・システム部門では、市場との対話を重ねながら機動的かつ安定的な資金調達を行うとともに、リスクと収益を適切に管理し、JBICの財務の健全性向上に取り組んでいます。その根底にあるのは、単に資金を安定的に確保するだけではなく、能動的なリスクコントロールを通じて政策金融機関として求められるリスクテイクを支える収益力を維持・向上させていくという考え方です。こうした強固な財務基盤こそが、JBICの価値創造を支え、日本および国際社会の成長と安定への貢献を可能にする礎であると考えています。

第5期中計の2年目となる2025年度は、冷戦後の国際秩序を前提に構築されてきた政治・経済の枠組みが揺らぐ中、米国の通商政策や地政学的リスクの高まり等を背景に、金融市場が不安定化する局面を迎えました。このような状況においても、JBICは外貨資金調達コストの動向をトップリスクとして的確にモニタリングし、米ドル建て中長期債やグリーンボンドの発行、円投スワップの活用等を通じて、資金調達コストの低減と調達年限の分散を実現しました。その結果、市場環境の変化に柔軟に対応しながら、安定的かつ多様な調達基盤の維持・強化を図ることができました。また、新会計基準への対応や現地通貨建て融資体制の整備等、中長期的視点に立った財務・会計基盤の強化も着実に実施しました。

2026年度は中計の総仕上げの年です。国際秩序の変容と不確実性の高まりが続く中、JBICには、脱炭素社会の実現、日本の産業の強靱化・創造的変革、多様な現地通貨建て支援といったグローバルな課題やニーズに対して、より柔軟かつ戦略的に対応していくことが求められています。特に、日米政府の関税合意に基づく戦略的投資イニシアティブに代表される経済安全保障分野において、JBICの果たすべき役割は一層重要性を増しています。こうした政策的要請に応えていくためには、多様な金融ツールを活用しながら必要なリスクテイクを継続的に支える財務基盤が不可欠です。営業部門と一体となった取り組みを推進するとともに、市場環境を的確に見極めながら市場関係者との丁寧な対話を継続していきます。また、健全性と機動性を両立した財務運営の高度化と、政策金融機関として求められるリスクテイク機能を持続的に発揮できる財務基盤の強化に取り組んでいきます。

不確実性が常態化する環境にあっても、長期的な視点に立った財務運営を通じてJBICが果たすべき役割を持続的に支え、政策的価値の創出を可能にする基盤を維持・強化することが、財務・システム部門の使命であると考えています。引き続き、ステークホルダーの皆様の信認に応え、JBICの持続的な価値創造に貢献していきます。

財務・システム部門長
鈴木 竜太

基本方針

  • 社会や顧客から期待される役割をふまえて、政策的意義の高い案件を長期にわたり支え続けるため、国際社会や市場の変化に機動的かつ柔軟に対応しながら安定した資金調達・管理を実施します。
  • 十分なリスクマネーの供給を可能とするために、不確実性の高い環境においても政策的役割を果たし得る水準の自律的な収益構造を維持し、自己資本を充実させることで、強固な財務基盤と財務の健全性を確保します。

現状認識

近年、通商政策を含む各国の政策対応が貿易・投資構造や国際関係の前提そのものに影響を及ぼすなど、国際経済を巡る不確実性が高まっています。

こうした情勢変化のもと、日本企業による脱炭素化等の地球環境保全への取り組み、サプライチェーンの強靱化、質の高いインフラの海外展開は、経済安全保障の観点からも重要性が一段と高まっています。さらに、国家間の政策的合意に基づく戦略的投資の推進等、これまで以上に大規模かつ長期間にわたり、確実な遂行が求められる取り組みも増えています。このような課題に対応していくためには、長期かつ安定的な資金供給が不可欠です。

JBICは、日本政府および国民からの負託を受けた政策金融機関として、こうした分野を支援していく重要な役割を担っています。その役割を果たすためには、市場環境が変動する局面においても、必要なタイミングで必要な規模の資金供給を継続できる強固な財務基盤が求められます。

とりわけ、JBICの融資は5年を超える長期にわたるものが多く、また融資資産の約90%が外貨建て融資です。このため、融資期間に見合った外貨建ての長期資金を安定的に確保することが、政策金融機関としての役割を支える重要な基盤となっています。

足元では、インフレ動向や金融政策の転換に加え、中東を含む複数の地域における地政学的緊張の高まりを背景として、金融市場の先行き不透明感は一層強まっています。こうした状況においても、JBICは世界各国の投資家や金融機関をはじめとする市場関係者との対話を通じて市場環境の的確な把握に努めています。また、政府保証外債の発行を中心に、通貨スワップや日本政府からの借入等の多様な手段を組み合わせることで、機動的かつ安定的な外貨資金調達を実施しています。

このような取り組みを通じて、JBICは長期かつ巨額の資金供給を可能とする財務基盤を維持しています。今後もこの財務基盤を生かし、日本と世界、官と民をつなぐ政策金融機関として、海外事業に取り組む日本企業等と連携しながら、政策的課題の解決と持続的な価値創造に貢献していきます。

経営成績および財政状態(連結ベース)

2025年度の経常収益は、米ドル金利の低下や貸出金残高の減少により、前年度比1,460億円減少しました。一方、資金調達費用の低下等により経常費用は1,998億円減少し、経常利益、当期純利益はいずれも1,000億円を超えました。

連結損益計算書

連結損益計算書表の画像

総資産20兆4,459億円のうち貸出金が15兆6,569億円と約4分の3を占めるなど、長期融資を中心とした資産構成となっています。また、保証業務にかかる支払承諾見返は1兆4,496億円となっています。純資産は、政府からの出資金の受入れや当期純利益の計上により3兆6,992億円(前期比4,533億円増)となり、財務基盤の強化が進みました。

26年3月期 連結貸借対照表

26年3月期 連結貸借対照表の画像

財務戦略

脱炭素や経済安全保障等の重要課題に対応するためには、政策的意義が高い長期・大型案件への継続的な支援が求められています。その基盤となるのが、柔軟かつ持続可能なリスクテイクを支える財務運営です。JBICは、中計のもと、日米政府の戦略的投資イニシアティブに基づく取り組みを含む多様な政策ニーズに応えるため、財務基盤の強化を土台として、資金調達の高度化、案件ニーズに応じた現地通貨対応、市場リスク管理の高度化を柱とする財務戦略を展開しています。

強固な財務基盤の確保

JBICは、日本および国際社会が直面するグローバルな課題や多様な資金ニーズに対応するため、外貨を中心とした多様な金融ツールを駆使し、政策金融機関として求められるリスクテイク機能を発揮しています。その過程では、ホスト国政府との連携や他の公的機関・国際機関との協調を通じて、リスクコントロールやリスクシェアを能動的に実施してきました。その結果、設立以後一貫して黒字を計上するなど、自律的な収益構造を確立・維持しており、その利益の一部を国庫に還元するとともに、自己資本の充実にも努めています。

2025年度は、当期純利益の計上に加え、政府からの出資金の受け入れにより純資産が増加し、財務基盤の一層の強化が図られました。こうした強固な財務基盤に支えられ、市場環境が大きく変動する局面においても、価値創造の担い手として継続的にリスクマネーを供給することが可能となっています。

一方で、国際情勢や市場環境の変化は財務収支に大きな影響を及ぼします。そのため、気候変動や地政学リスク等が財務基盤に与える影響を的確に把握・分析し、透明性の高い情報開示を行うことが重要です。こうした認識のもと、国際的な開示基準(ISSB/SSBJ等)の進展等もふまえながら、財務運営と情報開示の両面で高度化を進めています。

引き続き、基礎的収益の確保と自己資本の充実を通じて、政策金融機関としての役割を持続的に果たし得る強固な財務基盤の維持・強化に取り組んでいきます。

機動的・安定的な資金調達

JBICは、外貨(特に米ドル)建て融資が資産の大部分を占めていることから、外貨流動性の安定的な確保を財務管理上の重要課題と位置付けています。

2025年度は、金融市場が不安定化する中でも、外貨調達環境の変動に的確に対応しました。米ドル建て中長期債やグリーンボンドの発行に加え、通貨スワップ取引等を活用し、調達コストの抑制と年限構成の長期化・分散化を図り、機動的かつ安定的な外貨資金調達を実現しました。

加えて、日本政府との一体性を基盤としつつ、世界各国の投資家や金融機関をはじめとする市場関係者との対話を継続しています。併せて、財務の健全性のみならず、政策金融機関としてのリスクテイクの考え方等を含む財務運営の透明性向上にも取り組んでいます。こうした取り組みを通じて、主要ステークホルダーとの関係強化と市場からの信認の維持・向上を図っています。

2026年度においても、国際金融市場を巡る不確実性の高まりを前提に、市場環境に応じた柔軟な起債運営と投資家基盤の維持・拡充を通じて、健全性と機動性を両立した外貨資金調達を着実に実施していきます。

また、気候変動対応ファイナンスを通じた持続可能な社会の実現に貢献するため、グリーンボンドの発行を継続するとともに、レポーティングを含む運用の透明性向上を通じて、財務運営と環境価値創出の両立を推進していきます。

現地通貨建ての支援の促進

インフラ分野での支援をはじめ、各国・地域での多様な資金ニーズに対応するため、JBICは現地通貨建てでの案件支援を推進しています。現地通貨建て融資は、借入人の為替リスク低減に加え、プロジェクト収入と資金調達通貨の整合性を高めることで、事業の安定的な運営に資するものです。こうした支援を実現するためには、現地金融機関や金融当局との緊密な連携が不可欠です。JBICは、長年培ったネットワークと信頼関係を基盤として、アジアや中南米を含む各国・地域の通貨に対応できる体制を構築しています。今後も、各国・地域の市場環境や案件ニーズをふまえながら、現地通貨建て支援のさらなる拡充に取り組んでいきます。

市場リスク回避に向けた適切な対応

JBICは外貨建て資産・負債を保有しているため、金利や為替の変動に伴う市場リスクを適切に管理する必要があります。外貨貸付に伴う為替変動リスクは、通貨スワップ等を利用したフルヘッジを基本としています。また金利リスクについても、金利スワップ等を用いた変動金利ベースでの資金管理により適切に抑制しています。今後も、通貨・金利スワップ等を活用した市場リスク管理を通じて財務の健全性を確保するとともに、経済安全保障をはじめとする政策的意義の高い分野において必要なリスクテイク機能を安定的に発揮できる財務基盤の維持・強化に取り組んでいきます。

資金調達

JBICがリスクテイク機能を持続的に発揮し、長期の外貨建て案件を安定的に支援していくためには、必要な資金を着実に確保することが重要です。その際には、案件の具体的な進捗や実需をふまえ、市場に過度な影響を与えることのない形で調達を実施することが求められます。

JBICは、政府保証外債や財投機関債等の多様な手段を活用しつつ、市場関係者との丁寧な対話を重ねて投資家基盤の維持・拡充に取り組んでいます。その上で、市場の信認を礎としつつ、中長期的な視点に立った規律ある資金調達を行っています。

JBICの資金調達構造

JBICの資金調達構造の図

政府保証外債

JBICの資金調達において、政府保証外債は中核的な役割を担っています。2025年度末現在の残高(額面ベース)は5兆2,696億円であり、借入金残高(借入金および債券の合計)の37.46%を占めています。政府保証外債によって調達した資金は、主として外貨建て融資の原資として活用されています。また、政府保証外債は、日本政府と同等の格付を取得しているほか、預金取扱金融機関の自己資本比率算出上もリスクウェイトがゼロとされており、国際資本市場において高い信用力と優れた規制上の特性が評価されています。

さらにJBICは、グリーンファイナンスを通じた脱炭素社会の実現への貢献を目的として、2021年10月に国際資本市場協会(ICMA)のガイドラインに基づく「JBICグリーンボンドフレームワーク」を策定し、2022年1月にはJBIC初のグリーンボンドを発行しました。以降、米ドル建ておよびユーロ建てで継続的に起債し、投資家との対話の深化に努めています。これにより調達した資金は、再生可能エネルギーやグリーン・モビリティ等のGHG排出削減効果の高い脱炭素関連事業に充当しています。今後も継続的な発行と透明性の高いレポーティングを通じて、環境価値の創出と市場との対話の両立を図りながら、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

財投機関債

JBICは、財政投融資制度改革の趣旨をふまえ、発行体自身の信用力に依拠した市場性資金の調達手段として、政府保証の付かない財投機関債を国内資本市場において発行しています。財投機関債による調達は、資金調達手段の多様化を図る観点から、必要に応じて機動的に活用しています。

また、2024年5月には、JBICの財投機関債としては初となるグリーンボンドを発行し、多様な投資家層へのアクセス強化にも取り組んでいます。2026年度予算においては最大200億円の発行を計画しています。

既発行の財投機関債は、格付機関より日本政府と同等の高い格付を取得しているほか、預金取扱金融機関の自己資本比率算出上もリスクウェイト10%の資産として取り扱われており、市場において高い信用力を有する投資対象として認識されています。

(株)格付投資情報センター(R&I)・・・AA+
(株)日本格付研究所(JCR)・・・AAA
ムーディーズ・ジャパン(株)・・・A1
S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(株)・・・A+
(2026年6月26日現在)

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