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2011年6月29日
- 国際協力銀行(JBIC、経営責任者:渡辺 博史)*1は、28日、三井海洋開発株式会社(以下「MODEC」)が三井物産株式会社及び三菱商事株式会社と共に出資するオランダ王国法人GUARA MV 23 B.V.社との間で、Guara鉱区*2の権益を有するブラジル国営石油会社Petróleo Brasileiro S.A.(以下「ペトロブラス」)をはじめとするコンソーシアム*3が設立したオランダ王国法人Guara B.V.社向けのFPSO*4長期傭船サービス事業を対象とした総額812百万米ドル限度のプロジェクトファイナンス*5・ベースの貸付契約に調印しました。本融資は、株式会社三菱東京UFJ銀行(共同幹事行)、株式会社三井住友銀行(共同幹事行)、株式会社みずほコーポレート銀行、アイエヌジーバンクN.V.及びソシエテジェネラル銀行との協調融資です。
- 本プロジェクトは、MODECが、超大水深(水深2,000~3,000m)対応のFPSO(生産能力最大12万バーレル/日(原油)、180百万立方フィート/日(ガス)、貯蔵能力160万バーレル)1基を建造し、GUARA MV 23 B.V.社がMODECブラジル子会社とともに20年間に亘りGuara B.V.社に対して傭船サービス(リース及び運転・保守点検等のオペレーション)の提供を行うもので、本FPSOは、Guara鉱区の開発に投入される予定です。
- 近年、各国石油会社は海底油ガス田の開発を積極的に進める中、南米(ブラジル)、西アフリカ地域を中心に新規FPSO需要の拡大が見込まれています。特に、ブラジル近海ではプレソルトにおいて大型油ガス田の発見が相次いでおり、中・軽質油を主とする巨大な埋蔵量が世界的な注目を集めています。
- 日本唯一のFPSO事業者であるMODECは、他の世界の有力FPSO事業者との間で厳しい競争に晒されていますが、今後プレソルトにおける油ガス田の本格的な開発・生産を計画しているペトロブラスと、本件FPSO傭船サービスの提供等を通じた取引関係強化により、今後ペトロブラスが実施するFPSO案件の更なる受注が期待されます。尚、本件はTUPI油田向けFPSO*6に続く、2隻目のプレソルト層油田向けFPSO傭船事業です。
- 2007年7月に施行された海洋基本法及び2008年3月に閣議決定された海洋基本計画に基づき策定された「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」(2009年3月総合海洋政策本部(本部長:内閣総理大臣)会合にて了承)において、「日本近海におけるメタンハイドレート、海底熱水鉱床について10年後(2019年)を目処に商業化を目指す」とされています。本件事業を通じ日本の海洋エネルギー事業者が海洋資源開発に不可欠なFPSOの傭船サービスを提供することは、超大水深鉱区でのFPSOの操業にかかる技術・経営・ノウハウの獲得・向上を通じ、日本企業の海洋資源開発分野における国際競争力の強化につながり、日本の資源の確保・安定供給に間接的・将来的に寄与するものです。
- JBICは、海洋基本法及び海洋基本計画を踏まえ、今後も重要資源の開発・取得の促進及び日本の海洋産業の国際競争力の維持・向上を金融面から支援する方針です。
注釈
- *1 国際協力銀行は、株式会社日本政策金融公庫(総裁:安居 祥策)の国際部門です。
- *2 リオデジャネイロ沖合南約310kmに位置するSantos盆地プレソルト層(岩塩層)下にある巨大油田鉱区。
- *3 ペトロブラス、英国法人ブリティッシュガス社及びスペイン法人レプソルYPF社の各グループ会社のコンソーシアム。
- *4 FPSO:Floating Production Storage and Offloading Systemの略。浮体式の原油の一次処理(井戸元より生産された原油から、随伴ガス、水を分離すること)・貯蔵・積出設備。
- *5 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのこと。
- *6 2010年3月31日付けのプレスリリースをご参照下さい。