- 地域: アフリカ
- インフラ
- 輸出金融
- プロジェクトファイナンス
2012年6月21日
- 株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:奥田 碩)は、本日、モロッコ王国*1(以下「モロッコ」)法人Jorf Lasfar Energy Company 5 & 6 S.A.(以下「JLEC5&6」)との間で、融資金額216百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*2・ベースのバイヤーズ・クレジット(輸出金融)*3の貸付契約を締結しました。本融資は、ビー・エヌ・ピー・パリバ銀行東京支店(幹事行)、スタンダードチャータード銀行東京支店及びソシエテジェネラル銀行東京支店との協調融資(協調融資総額360百万米ドル相当)であり、民間金融機関融資部分には独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による貿易代金貸付保険が付保されます。また、本融資は、JBICのモロッコにおける初のプロジェクトファイナンス案件です。
- 本プロジェクトは、アブダビ水・電力庁(ADWEA、アブダビ首長国政府100%出資)の子会社であるAbu Dhabi National Energy Company P.J.S.C.(以下「TAQA」)が、モロッコ・カサブランカ南西に位置するジョルフラスファール地区において稼働中の石炭火力発電所(発電容量1,356MW)の隣接地に、新たに700MW(350MW×2系列)の石炭火力発電所を建設し、TAQAが出資するJLEC5&6が、30年間に亘りモロッコ電力・水公社(Office National de l'Electricité et de l'Eau Potable)に対し売電するものです。本融資は、三井物産株式会社が参画する共同事業体が受注した発電プラント(主要機器である蒸気タービンは三菱重工業株式会社製、ボイラーは株式会社IHI製)の建設資金の一部に充てられます。
- モロッコでは、経済成長及び非電化地域の電化拡大を背景として、近年は年平均約7%のペースで電力需要の増加が見込まれていますが、本プロジェクトは、完工予定の2014年にはモロッコの電力需要の約10%を担うことが想定されており、同国の電力供給源として極めて重要な役割を果たすことが期待されています。
- 本件において、JBICが日本企業による発電所関連設備の輸出を金融面から支援することは、今後も電力供給需要の拡大が期待されるモロッコでの日本企業のビジネス機会の創出に繋がり、日本の産業の国際競争力の維持・向上にも資するものです。また、本事業は、我が国にとって極めて重要なエネルギー資源供給国の一つであるアブダビ首長国政府が、TAQAを通じて進める第三国での発電プロジェクトの一つであり、本件融資を通じ、日本とアブダビ首長国との更なる重層的な経済関係の強化にも資するものです。
- 日本政府は、2008年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD Ⅳ)において、アフリカ向けに5年間で総額25億米ドルのJBICによる金融支援を実施することを発表しており、本融資はこの枠組みにも寄与するものです。JBICは、今後も多様な金融ツールを活かした案件組成やリスクテイク機能等を通じ、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していく所存です。
注釈
- *1 JBICは、潜在的なビジネス機会の大きいモロッコとの間で、両国間の経済関係強化を図るべく、2011年3月に包括戦略パートナーシップに係る覚書を締結しています。2011年3月8日付プレスリリースをご参照下さい。
- *2 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのことです。
- *3 バイヤーズ・クレジットとは、外国の輸入者が日本企業から機械設備等を輸入するための資金を、JBICより外国の輸入者に直接融資する形態のことです。