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2014年11月28日
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:渡辺 博史)は、わが国製造業企業の海外事業展開の動向に関するアンケート調査を実施し、本日結果を発表しました。今回の調査は、本年7月に調査票を発送し、7月から9月にかけて回収したものです(対象企業数1,021社、有効回答数617社、有効回答率60.4%)。本調査は、海外事業に実績のある日本の製造業企業の海外事業展開の現況や課題、今後の展望を把握する目的で1989年から実施しており、今回で26回目となります。(報告書全文:わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告)
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本年度調査では、「中期的海外事業展開見通し」や「海外事業展開実績評価」、「有望事業展開先国・地域」などに加え、個別テーマとして、「わが国製造業企業の競争力とグローバル生産体制の方向性」、「わが国製造業企業の海外インフラ関連ビジネスへの取組」についても調査を行いました。
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本調査結果の要旨は以下の通りです。
(1)わが国製造業企業の海外展開は拡大姿勢が継続
海外生産比率及び海外売上高比率はそれぞれ4割の水準に近づき、海外事業の比重が高まってきている。回答企業の8割が引き続き海外事業を強化・拡大する姿勢にあり、このうち約9割が国内事業について現状維持又は拡大の姿勢にある。回答企業全体でみると、国内事業の強化・拡大姿勢は回答企業の3割未満で横ばい、現状程度を維持する姿勢が6割を占めている。
(2)中期的な有望国ではインド、インドネシア、中国の得票率が拮抗
中期的な有望国では、前回調査に引き続き上位有望国の順位が変動。市場拡大への期待が高いインドが調査開始以来はじめて第1位となった。前回調査第1位のインドネシアが第2位、同第4位の中国が第3位となったが、上位3ヵ国の得票率は45%前後で拮抗する結果となった。一方、タイは前回調査から得票数が大きく低下し、前回調査の第3位から第4位に順位を落とした。
前回調査の中期的有望国上位5ヵ国(インド、インドネシア、中国、タイ、ベトナム)について、今回調査の中期的有望国として挙げなかった理由を調査したところ、中国、タイについては「既に一定規模の事業を行っている」ことを理由として中期的有望国に挙げない企業が多くみられた。
また、最近の各国・地域における政治・社会情勢は、それが発生している国・地域に限らず、当該国・地域と経済関係の強い国・地域を中心に広く意識されている傾向が見られた。(3)競合先企業の販売力評価において、中国系・韓国系企業は低下傾向。アジア各国・地域内における現地生産・納入が拡大する一方、アジア域内の生産分業は業種により見通しが異なる
日本企業による競合先企業の販売力評価に関しては、2012年度調査との比較において、欧米系企業に対する評価は上昇している。一方、中国系企業及び韓国系企業に対する評価は低下傾向にあり、両国企業との競争に関する日本企業の自信が回復してきていると考えられる。
また、アジア各国・地域内では中国とASEANを中心に現地生産・納入が拡大する見通し。アジア域内の生産分業体制については、中国、ASEANを中心とした分業が進むとの見通しが示されたが、業種により回答に差異がみられた。(4)日本企業の海外拠点の機能強化は緩やかに進む一方、国内拠点は引き続き生産と研究開発の両面で重要な役割を担っていく
生産拠点に求められる役割分担については、海外拠点の機能強化の姿勢が見られる一方、日本国内の拠点は、イノベーション、人材育成の面で引き続き重要な役割を担っていくとの見方が多かった。また、研究開発に関しては、基礎、応用、開発全ての段階において、日本国内の拠点が中核的な役割を担っていくことが示された。
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JBICでは、今回の調査結果を踏まえ、国際的な競争にさらされている日本企業の海外事業展開支援及び各国・地域の投資環境改善に向けた現地政府当局や関係機関との対話などを引き続き行っていきます。
別紙1:(抜粋)中期的(今後3年程度)有望事業展開先国・地域
別紙2:(抜粋)海外生産比率、海外売上高比率および海外収益比率の推移