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2015年9月3日
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:渡辺 博史)は、2日、トリニダード・トバゴ共和国(以下「トリニダード・トバゴ」)法人Caribbean Gas Chemical Limited(以下「CGCL社」)との間で485.1百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約に調印しました。JBICがトリニダード・トバゴ向けにプロジェクトファイナンスを行うのは本件が初となります。本融資は、株式会社三菱東京UFJ銀行との協調融資によるもので、協調融資総額は693百万米ドルです。また本融資は、JBICの「海外展開支援融資ファシリティ」*2の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件です。
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本件は、三菱ガス化学株式会社(以下「三菱ガス化学」)、三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)及び三菱重工業株式会社が、トリニダード・トバゴ国営ガス会社のThe National Gas Company of Trinidad and Tobago Limited及び同国企業のMassy Holdings Limitedとともに設立したCGCL社が、トリニダード・トバゴ南部のLa Brea地区Union工業団地において年間100万トンのメタノールを製造し、さらにその一部を用いてジメチルエーテル(以下「DME」)*3の製造事業を行うものです。生産されたメタノールの大部分は三菱ガス化学及び三菱商事が引取り、日本を含む各国に販売されます。
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メタノールは主に天然ガスから生産され、DMEの原料やガソリン添加剤、燃料電池用の燃料として利用されている他、接着剤や合成樹脂等の化学品原料など幅広い用途に使用されています。日本は、メタノール需要の100%を輸入に依存していることから、調達リスクを下げるためにも、調達先の分散化が重要となります。本プロジェクトは日本企業が直接出資する海外メタノール生産拠点を拡大・分散することにつながるため、日本のエネルギー資源確保や安定供給への貢献が期待されます。
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トリニダード・トバゴ政府は、天然ガスの用途多角化のため、メタノール・DMEをはじめとする天然ガス川下事業の更なる振興を企図しています。本プロジェクトは、同国政府の政策に沿ったものであり、本プロジェクトへの支援は、大西洋地域有数の天然ガス資源国である同国との関係強化にも貢献するものです。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本にとって重要なエネルギー資源の確保に貢献するプロジェクトを金融面から支援していきます。
注釈
- *1 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのことです。
- *2 2014年7月1日付お知らせをご参照下さい。
- *3 ジメチルエーテルとは、LPG代替、自動車及び発電向けディーゼル燃料代替として注目されている次世代クリーンエネルギーです。