- 地域: アジア
- インフラ
- 輸出金融
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:近藤 章)は、3月31日、ベトナム電力公社(Vietnam Electricity、以下「EVN」)との間で、融資金額約50百万米ドル(JBIC分)を限度とするバイヤーズ・クレジット(輸出金融)の貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社三菱東京UFJ銀行(幹事行)との協調融資であり、同行の融資部分に対しては、株式会社日本貿易保険(NEXI)による保険が付保されます。協調融資総額は約84百万米ドルです。
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本件は、EVNがベトナム社会主義共和国(以下「ベトナム」)南部のビントゥアン省において、JBICが融資*1を行い、現在建設中の石炭火力発電所の隣接地に、新たに超々臨界圧石炭火力発電所(600MW×1基)を建設するにあたり、三菱商事株式会社他のコンソーシアムより、株式会社東芝製の蒸気タービン等設備一式を購入するための資金を融資するものです。
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ベトナムでは、堅調な経済成長を背景に電力需要が急増する一方、必要な発電所建設が追いつかず、電力需給が逼迫している状況であり、特に同国南部の電力不足解消は喫緊の課題になっています。ベトナム政府は、こうした状況を踏まえ、電力供給能力の拡充を国家の優先課題と位置付けており、自国資源の有効活用も踏まえた発電所の建設を推進し電源開発を迅速に進めるべく、2011年策定の第7次国家電力開発マスタープランを2016年に改訂しました。本件は、同国南部における電力供給能力の拡充を盛り込んだ改定後の同プランに則ったものです。本融資は、JBICが日本企業による蒸気タービン等設備一式の輸出を支援することにより、日本企業の国際競争力の維持・向上に貢献すると共に、ベトナムにおける安定した電力供給による経済発展にも貢献することが期待されます。
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また本件は、ベトナム初となる超々臨界圧石炭火力発電案件です。日本政府は、平成27年に公表した「質の高いインフラパートナーシップ」において超々臨界圧石炭火力発電技術を「質の高いインフラ」技術として掲げています。安倍総理は本年1月の日・ベトナム首脳会談において、ベトナムにおける高効率で環境に優しい石炭火力の新規導入への協力を表明しており、本件はこうした政府の施策にも合致するものです。
- JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 JBICは、2014年7月17日付で、同省の石炭火力発電所建設プロジェクトに必要な蒸気タービン等の購入資金を対象として、EVNとの間で貸付契約を締結しています。詳細は、2014年7月17日付プレスリリースをご参照下さい。