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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、4月28日、センコーグループホールディングス株式会社が60%、JX金属株式会社(以下「JX金属」)が40%を出資する日本マリン株式会社の100%子会社であるマーシャル諸島共和国法人RUPANCO INC.*1(以下「RUPANCO」)との間で、融資金額1,995千米ドル(JBIC分)を限度とする貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社三菱UFJ銀行との協調融資により実施するもので、協調融資総額は2,850千米ドルです。
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本融資は、RUPANCOが保有・運航する鉱硫船*2(以下「KORYU号」)に対して風力推進補助装置「ローターセイル*3」を導入するために必要な資金を融資するものです。RUPANCOは、チリ共和国においてJX金属が権益を保有するエスコンディーダ銅鉱山、カセロネス銅鉱山、ロス・ペランブレス銅鉱山等で産出される銅精鉱を日本国内の製錬所へ、また国内製錬所での銅製錬における副産物である硫酸をチリの銅鉱山へ、それぞれKORYU号を用いて輸送しています。この度のローターセイル導入は、大手鉱山会社であるBHPおよび風力推進補助装置の世界的メーカーであるNorsepower Oy Ltdとの共同プロジェクトです。
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本件は、日本企業が権益を保有する銅鉱山等からの銅精鉱を輸送する鉱硫船への追加設備導入支援を通じ、日本の長期安定的な銅資源確保に寄与するものです。また、国際海事機関により2023年から既存船燃費規制(Energy Efficiency Existing Ship Index)が導入されるなど船舶からのCO2排出量の削減を求める動きが加速する中、KORYU号へのローターセイル導入により、運航速度と航海時間を最大限維持しながら風力推進補助によるエンジン出力低下を通じたCO2排出量削減が可能となるところ、日本企業のサプライチェーンにおける低炭素化に貢献するものです。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、日本企業による鉱物資源などの重要資源の開発・取得をサプライチェーンの上流から下流に至るまで積極的にサポートし、日本への鉱物資源の安定供給確保及び低炭素化を金融面から支援していきます。
注釈
- *1
2013年9月、JBICはRUPANCOとの間でRUPANCOによるKORYU号の調達・運航に必要な資金のための貸付契約を締結しています。詳細は2013年9月24日付プレスリリースをご参照ください。
- *2
銅精鉱及び硫酸それぞれ専用の船倉を備えることにより、一隻で両貨物の輸送を可能とし高い輸送効率を実現している、JX金属グループが運航する特注船です。
- *3
マグヌス効果(回転しながら進む物体に風が当たることで揚力が発生する現象)による推進力により船の燃費効率を高めることができる風力推進補助装置のことです。