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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、10月23日、丸紅株式会社及びサウジアラビア王国(以下「サウジアラビア」)法人Abdul Aziz Al Ajlan Sons Co. for Commercial and Real Estate Investment –Ajlan & Bros(以下総称して「両社」)が出資するサウジアラビア法人RIAH AL-GHAT FOR ENERGY COMPANY(以下「AL-GHAT」)との間で、同国アルガット陸上風力発電事業を対象として、融資金額約148百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を、また、両社が出資するサウジアラビア法人WAAD AL SHAMAL FOR ENERGY COMPANY(以下「WAAD AL SHAMAL」)との間で、同国ワードアルシャマル陸上風力発電事業を対象として、融資金額約136百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を、それぞれ締結しました。本融資は、いずれも三井住友信託銀行株式会社、スタンダードチャータード銀行及びドバイ商業銀行との協調融資により実施するものであり、協調融資総額はそれぞれ約298百万米ドル、約274百万米ドルです。
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日本政府は、「インフラシステム海外展開戦略2025」(令和5年6月追補版)において、カーボンニュートラル・脱炭素移行への支援として、ホスト国のエネルギー政策に適合し、高度な技術を活用して環境負荷を抑制した質の高いエネルギー・電力インフラに対する金融支援を実施する方針を掲げています。また、「2030年を見据えた新戦略骨子」(令和6年6月経協インフラ戦略会議決定)においても、グリーン・デジタル等の社会変革をチャンスとして取り込む機動的対応が掲げられています。本融資はこうした施策に沿うものであり、日本企業が出資者として事業参画し、長期にわたり運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものです。
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また、サウジアラビアの経済改革計画「Saudi Vision 2030」に沿う形で策定された、同国エネルギー省所管の国家再生可能エネルギープログラム(National Renewable Energy Program (NREP))では、2030年までにエネルギーミックスの約50%を再生可能エネルギーとする目標を掲げています。両プロジェクトは、こうした同国政府のエネルギー移行政策に沿うものです。また、サウジアラビアは世界有数の原油及び天然ガスの産出国であり、本プロジェクトへの支援は、日本にとって重要な原油輸入先の一つである同国との重層的な経済関係のさらなる強化にも貢献することが期待されます。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していきます。
注釈
- *1
プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキームです。
- *2
2021年3月22日付プレスリリースをご参照ください。
- *3
IPP(Independent Power Producer)とは、自前で発電設備を建設・運営し、電力を販売する独立系発電事業者のことです。