- 地域: ヨーロッパ
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、本日、ドイツ連邦共和国(以下「ドイツ」)法人United Internet AG(以下「United Internet社」)との間で、融資金額800百万ユーロ(うちJBIC融資分300百万ユーロ)を限度とする貸付契約を締結しました。本融資は、民間金融機関*1との協調融資により実施するものです。また、JBICは民間金融機関の融資の一部に対し、保証を提供します。
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United Internet社は、ドイツ国内で固定通信、移動体通信及びクラウド事業等を展開する情報通信企業です。本件は、United Internet社が、同社の子会社であるドイツ法人1&1 AG(以下「1&1社」)を通じて、楽天シンフォニー株式会社(以下「楽天シンフォニー」)の完全仮想化ネットワーク用ソフトウェア群を活用し、ドイツにおいてOpen RAN技術*2による5Gネットワーク基盤を構築するために必要な資金を融資するものです。
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1&1社は、楽天シンフォニーとともに、Open RAN技術に基づく欧州初の完全仮想化ネットワーク基盤を構築しています。こうした取り組みは、ドイツ国内における安全で質の高い通信環境の確立につながります。本融資は、ドイツに進出する日本企業が、現地でのビジネスにおいて情報通信技術を活用するための基盤整備を支援するもので、2023年10月1日に全面施行された「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律」*3によって強化された機能を活用し、日本企業の海外事業に必要な基盤を支える特定外国法人向けに支援を行うものです。
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ドイツ政府は2017年7月に、2025 年までに5G通信網の整備を完了させる目的で「ドイツの5G戦略」を発表し、5G周波数の開放や光ファイバーの展開支援を推進しています。また、日本の総務省とドイツのデジタル交通省との間で2024年11月に開催された第8回日独ICT政策対話において、Open RAN等の技術を用いた通信ネットワークの安全性確保の重要性につき確認したほか、官民を挙げてさらなる日独連携の深化に取り組むことを確認しています。加えて、日本政府による「インフラシステム海外展開戦略 2025」(令和5年6月追補版)では、デジタル分野における海外展開支援の重要性が指摘されており、とりわけ、デジタル技術利活用の基盤となるOpen RAN等の安全でオープンな5Gや関連インフラについて、日本企業の製品・システムの海外展開を後押ししていくことが掲げられています。本融資はOpen RANに基づく5G通信網の拡大に貢献することから、こうした日本・ドイツ両政府の政策に合致するものです。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業のドイツにおけるビジネス環境整備を金融面から支援していきます。
注釈
- *1
コメルツ銀行東京支店、BNPパリバ銀行東京支店、香港上海銀行東京支店、株式会社みずほ銀行及び株式会社三菱UFJ銀行
- *2
無線の送受信装置について、特定のベンダーに依存するベンダーロックインを回避し、様々なベンダーの機器やシステムとの相互接続を可能とする標準化された無線アクセスネットワーク(RAN)。
- *3
2023年10月2日付お知らせをご参照ください。