- 地域: アジア
- インフラ
-
株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、5月31日、マレーシア法人Sarawak Energy Berhad(以下「SEB」)との間で、エネルギートランジションおよびアジア域内での送電網強化に向けた協力推進を目的とする戦略的業務協力に関する覚書を締結しました。
-
SEBはマレーシア・サラワク州政府の電力会社であり、マレーシア最大の再エネ開発事業者です。同州は、水力発電を中心に再生可能エネルギー(以下「再エネ」)資源が豊富であり、同州からの再エネ電力供給に期待が寄せられています。本覚書は、再エネの電源開発およびASEANにおいて広域な電力融通を可能とする電力網構想であるASEAN Power Grid(以下「APG」)構想に沿った域内の送配電インフラの強化に向けて、JBICとSEBの協力関係を強化することを目的とするものです。日本企業が持続可能な脱炭素社会の実現に向けたビジネスに注力する中、SEBとの関係強化は、日本企業のビジネスの拡大につながることが期待されます。
-
マレーシア政府は、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2005年比で45%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを目指すと表明しています。2023年に発表したNational Energy Transition Roadmap(NETR)では、再エネ比率70%達成を目標とし、太陽光発電の増強や送電網整備計画の策定を掲げています。また、マレーシア政府は、APG構想を推進しており、同構想はクリーンな電力の域内における有効活用につながることが期待されています。
-
JBICは、2024年6月に公表した第5期中期経営計画において、カーボンニュートラルと経済発展の統合的実現への貢献を取組目標に掲げ、世界のグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた取り組みや、各国のカーボンニュートラルへの多様な道筋を踏まえたエネルギートランジションに向けた取り組みを支援しています。本覚書の締結は、こうしたJBICの中期経営計画に沿っています。
-
また、日本政府は2022年1月、日本企業が強みを持つ技術・知見を活かし、エネルギートランジションに向けたアジア各国の取り組みを支援し、協力する枠組みとして「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を提唱しました。マレーシアはAZECの重要なパートナー国であり、本覚書の締結は、こうした日本政府の方針にも沿うものです。
- JBICは今後も、日本の公的金融機関として、脱炭素分野における重要なパートナーとの協力関係の強化等を通じて、日本企業のビジネス機会の創出や、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献していきます。