- 地域: アフリカ
- インフラ
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、1日、モロッコ王国(以下「モロッコ」)法人TAQA Moroccoとの間で、パートナーシップ強化のための覚書を締結しました。本覚書は、エネルギー移行および水供給分野におけるTAQA Moroccoと日本企業の協業案件支援に向けた両者間の連携強化を目的としています。具体的な協力分野としては、エネルギートランジション・再生可能エネルギー発電・送電分野、水供給の確保に貢献する海水淡水化・上下水道等分野、およびグリーン水素分野等が含まれます。
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モロッコ政府は、2023年に国家低炭素戦略2050(National Low Carbon Strategy 2050)を発表し、産業分野における低炭素化を推進しており、2040年代に石炭火力発電を段階的に廃止し、再エネ比率を2025年の45%から2050年までに96%まで増加させることを宣言しています。また、2050年までの水資源戦略の基本計画として国家水計画(Le Plan National de l’Eau)を策定し、水資源の確保を重要課題として掲げています。TAQA Moroccoは、モロッコの発電・造水事業を牽引する主要な企業であり、2030年までに9億㎥の海水淡水化事業および8億㎥の水輸送設備導入に向けた投資を計画するなど、モロッコのエネルギーミックスおよび低炭素化戦略に貢献し、国家水計画を支援することを目指しています。
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モロッコは欧州のエネルギー安全保障上重要な位置付けとされ、同国は欧州諸国のエネルギー安全保障の観点からも、重要な役割を担うことが期待されています。モロッコ政府は国際会議の場において、同国が「アフリカ、欧州および大西洋を結ぶエネルギー回廊」であることを表明し、欧州諸国もモロッコのエネルギー・水素ハブ構想に賛同しています。
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さらにモロッコ政府は、2023年のCOP28の機会を捉え、アラブ首長国連邦(以下「UAE」)と12の分野にわたる二国間覚書を締結し、二国間連携を強化しています。UAEの政府系ファンドであるAbu Dhabi Development Holding Company PJSCも、モロッコを注力国に据え、政府系エネルギー企業のTAQAグループをポートフォリオ企業の一つに設定しています。
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今般、JBICがTAQA Moroccoとの協力関係を強化することは、JBICのモロッコにおけるエネルギートランジション支援という観点から日本とモロッコとの二国間関係強化およびモロッコで事業展開を図る日本企業の活動支援に資するものです*1。また、欧州のエネルギー安全保障上重要な位置付けにあるモロッコのエネルギー分野・水供給分野等を支援することは、エネルギー安全保障に関する日本と欧阿中東諸国内の連携強化に貢献します。加えて、モロッコが二国間連携強化を進めるUAEと日本との間の連携強化にも寄与することが期待されます。
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JBICは、2024年6月に公表した第5期中期経営計画において、カーボンニュートラルと経済発展の統合的実現への貢献を取組目標に掲げています。また、2021年10月にESGポリシーを公表し、2030年までの自らの温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロの達成、2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロの達成を追求し、新興国・途上国における脱炭素社会の実現に向けたエネルギートランジションを加速させ、世界全体でのカーボンニュートラル実現に貢献しています。本覚書の締結は、こうしたJBICの中期経営計画やESGポリシーに沿った取り組みです。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、脱炭素分野における重要なパートナーとの協力関係の強化等を通じて、日本企業のビジネス機会の創出に貢献していきます。
注釈
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2024年11月のCOP29の機会を捉え、モロッコのエネルギー移行・持続可能な開発省との間でエネルギー移行と持続可能な開発に向けた協力の強化を目的とする覚書を締結しています。2025年11月18日付プレスリリースをご参照ください。





