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東南アジア初、ペットボトルのリサイクル事業を手がける。現地での啓発活動にも力を注ぐプラ樹脂メーカー

わが社のグローバル展開 株式会社ヒロユキ

生産拠点をマレーシアに置き、梱包資材やプラスチック樹脂の製造・販売を手がける。環境に配慮した製品を次々開発。東南アジアで事業拡大を続けながら、地域のリサイクル意識の浸透にも努める。

株式会社ヒロユキ/代表取締役会長中田広之さんの画像 株式会社ヒロユキ/代表取締役会長中田広之さんの画像

株式会社ヒロユキ/代表取締役会長 中田広之さん ミャンマー・ヤンゴン出身。1991年に来日後、日本国籍取得。2001年、マレーシアにHiroyuki Industriesを設立。06年、株式取得によりヒロユキの社長に就任。12年から会長。今も自ら世界を飛び回って事業拡大を図っている

地球と人に優しい企業を目指す。ペットボトルのリサイクルに着目

「プラスチックはきちんと再利用できれば、環境にとても優しい素材なのです」。そう語るのは、ヒロユキの中田広之代表取締役会長だ。プラスチック製品の代替として、近年では紙製のものが広く使用されるようになってきた。

しかし、「紙は材料となる木を多く切ることになるし、結局、リサイクルされることなくゴミとして焼却されます。それが本当に環境に良いと言えるのでしょうか」と疑問を投げかける。

マレーシアに生産拠点を置き、国内外で梱包資材やプラスチック樹脂の製造・販売を手がけるヒロユキ。「常に地球環境とコストに配慮した製品を提供」することを企業理念に掲げ、東南アジアでは初めて、100%使用済みペットボトルから作られた食品向けリサイクルPET樹脂を製造している。

主力のPP(ポリプロピレン)バンドは幅広い用途で活躍の画像

主力のPP(ポリプロピレン)バンドは幅広い用途で活躍

ミャンマー出身で日本国籍を取得。一念発起マレーシアで起業

これまでヒロユキがたどってきた道のりはユニークだ。現会長の中田氏はミャンマー出身。民主化運動で大学が封鎖されたことを機に、1991年に日本へ留学した。大学を卒業したのちに日本国籍を取得し、梱包資材を扱う会社で働き始める。そこでの仕事の中で、東南アジアでは日本のような品質のよい梱包資材が製造されておらず、現地の日系企業は梱包資材を日本から輸入していることに気づいた。

「日本と同じ品質の製品を現地で提供できれば需要がある」。2001年、中田氏は自ら、原材料が調達しやすいマレーシアにHiroyuki Industriesを設立した。

設立当初から環境負荷を減らした製品の開発に力を注ぎ、資材や荷物を固定するために使用される薄いストレッチフィルム(梱包ラップ)では、ラップを巻き付ける芯の紙管の厚さを従来の10分の1にすることで紙の使用を減らす工夫を施した。当時の東南アジアで初の画期的な製品だった。

日本にも輸出するなど順調に業績を伸ばしていたところ、取引先だった日本の梱包資材会社から事業譲渡の打診を受ける。中田氏は代表取締役社長(その後、会長)に就任し、マレーシア法人であるHiroyuki Industriesを生産拠点とした。さらなる事業拡大に向けて、09年に社名をヒロユキに改め、12年にはミャンマーとベトナムに現地法人を設立、ベトナムとタイに営業拠点も開設した。

2018年、マレーシアに、同国内で使用されたペットボトルを回収し、それを材料として食品用のリサイクルPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を生産する施設を造った。これにより、使用済みのペットボトルを、リサイクルによって新たなペットボトル用資材へと生まれ変わらせることができるようになった。

東南アジアではまだ誰も手がけていなかった事業だが、その前年に中国が廃プラスチックの輸入を規制し資源ゴミの引き取り手がなくなったことも追い風となった。ヒロユキでは、木材などを梱包するPETバンドも使用済みペットボトルから製造している。

2019年に完成したマレーシア第3工場。ここでは主に、使用済みペットボトルから食品向けリサイクルPET樹脂(右)を製造しているの画像 2019年に完成したマレーシア第3工場。ここでは主に、使用済みペットボトルから食品向けリサイクルPET樹脂(右)を製造しているの画像

2019年に完成したマレーシア第3工場。ここでは主に、使用済みペットボト
ルから食品向けリサイクルPET樹脂(右)を製造している

2019年に完成したマレーシア第3工場。ここでは主に、使用済みペットボトルから食品向けリサイクルPET樹脂(右)を製造している

リサイクル率の低いマレーシア。小学校での啓発活動に取り組む

環境に配慮したヒロユキの製品は高く評価され、現在、日本や東南アジア諸国だけでなく、カナダ、オーストラリアなどにも広く輸出されている。

その一方で、中田会長によれば、「マレーシアのペットボトルのリサイクル率はわずか16%。使用済みペットボトルは、まだうまく社会で循環されていない」という。マレーシア国内でのペットボトルのリサイクル事業には成長の余地があると見て、ヒロユキはリサイクルPET樹脂の生産設備の拡大を計画している。JBICからの融資も、その取り組みを後押しする。

マレーシアのリサイクル率が低い背景には、そもそもリサイクルへの意識が定着していないことがある。そのため、使用済みペットボトルがきちんと回収されずに、ただゴミとして扱われてしまうことが多い。「まずは子どもたちにリサイクルの大切さを伝えていきたい」と中田会長。

そこでヒロユキでは、リサイクルPET樹脂の生産工場があるジョホール州の公立小学校約60校を対象に、リサイクルプロジェクト「レスキューPETボトル」を始めた。学校で使用済みペットボトルを回収する取り組みだ。

「レスキューPETボトル」プロジェクトでは、家庭等で空になったペットボトルを子どもたちが学校に持ち寄ることで大規模な回収につながったの画像

「レスキューPETボトル」プロジェクトでは、家庭等で空になったペットボトルを子どもたちが学校に持ち寄ることで大規模な回収につながった

このプロジェクトのもと21年4月から22年11月の間に子どもたちが学校に持参した使用済みペットボトルは、なんと50万本に上った。プロジェクトに参加した小学校の教員からは「子どもたちのリサイクル意識が高まった」との声も上がった。23年4月からは中学校も対象に含め、同様のプロジェクトを進めている。

「5年後、10年後、自分たちが社会に貢献できていると自覚できればうれしい」。中田会長は笑顔でそう語る。マレーシアだけでなく、ベトナム、それに自らの故郷であるミャンマーなどでも、リサイクル事業と環境啓発に携わっていきたいと、この先を見据えている。

株式会社ヒロユキ

1938年 創業
2001年 PPバンド、PETバンド製造を開始
2005年 Hiroyuki Industriesと事業提携
2009年 ヒロユキに社名変更
2012年 Hiroyuki Myanmar、
Hiroyuki Vietnam設立
2014年 パレット包装フィルム製造を開始
2018年 マレーシアに第2工場を設置、
Bottle to Bottle recycle事業を開始
2019年 マレーシアに第3工場を設置
融資概要

2022年7月、ヒロユキのマレーシア法人Hiroyuki Industriesとの間で融資金額256万ユーロ(JBIC分)を限度とする貸付契約を締結。東南アジアなど成長市場における日本企業の海外事業展開を金融面から支援する

本案件に関するプレスリリース
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