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カナダの地下鉄建設に乗り出す日本の鉄道産業を支援。コロナ禍で得た学びと、次への手応え

PROJECT最前線 カナダ・トロントの地下鉄事業にプロジェクトファイナンス

高い技術を誇る日本の鉄道産業だが、海外、特に市場の成熟した先進国での受注競争は非常に激しい。カナダの地下鉄事業の支援に至った背景を、古屋俊洋さんと丹羽勇人さんに聞いた。

(左)インフラ・環境ファイナンス部門社会インフラ部 第1ユニット ユニット長代理古屋俊洋 さん、(右)インフラ・環境ファイナンス部門社会インフラ部 第1ユニット 係員丹羽勇人 さんの画像 (左)インフラ・環境ファイナンス部門社会インフラ部 第1ユニット ユニット長代理古屋俊洋 さん、(右)インフラ・環境ファイナンス部門社会インフラ部 第1ユニット 係員丹羽勇人 さんの画像

(左) インフラ・環境ファイナンス部門
社会インフラ部 第1ユニット ユニット長代理
古屋俊洋 さん 2008年入行。メキシコシティー駐在員、石油・天然ガス部等を経て、鉄道・都市交通をはじめとする社会インフラ案件と米国・カナダ等の国担当業務に従事。慶應義塾大学経済学部卒業

(右) インフラ・環境ファイナンス部門
社会インフラ部 第1ユニット 係員
丹羽勇人 さん 2021年入行。鉄道・都市交通・MaaS・水道施設・廃棄物処理等の社会インフラ案件に従事。東京大学大学院工学系研究科卒業。学生時代はバレーボール部に所属

鉄道事業への約10年ぶりの融資。交通だけでなく環境にも貢献

日本の優れた鉄道インフラ技術を、もっと世界へ──。交通需要の増加に対応すべく、カナダ最大の都市・オンタリオ州トロント市が進めている地下鉄の新路線事業に、日本の鉄道会社が参入。JBICは、日本の民間金融機関等とともに協調融資を行った。

インフラ・環境ファイナンス部門 社会インフラ部 第1ユニットの丹羽勇人さんの画像

インフラ・環境ファイナンス部門 社会インフラ部 第1ユニットの丹羽勇人さん

「現地政府がプロジェクトにしっかりコミットしていて、スケジュール感が圧倒的に速いと感じました。おかげで、約1年という短い期間でJBICとプロジェクト関係者の初回協議からファイナンスクローズまで一連のプロセスを経験できました」。そう語るのは、本案件の実務を担当したインフラ・環境ファイナンス部門社会インフラ部の丹羽勇人さん。

通常、交通インフラのプロジェクトファイナンス(PF)の組成は長期にわたるため、入行2年目にして丹羽さんが一貫して携われたことは幸運だったという。大学院時代に途上国の交通インフラを研究していただけに、感慨もひとしおだ。

日本企業の先進技術が投入されるトロントの新しい地下鉄(完成イメージCG)の画像

日本企業の先進技術が投入されるトロントの新しい地下鉄(完成イメージCG)

JBICにとって鉄道事業へのPFは、2014年の日立製作所の英国鉄道事業以来となる。当時とはマーケットの状況やファイナンスの手法も大きく変わっているため、前例がないと言っていい。加えて、鉄道事業は建設から運行まで多岐にわたり、多くのステークホルダー(下図参照)との連携も重要だ。社会インフラ部第1ユニットのユニット長代理を務める古屋俊洋さんは、「スポンサーや他レンダーなど、関係者の総合力で入札できました。そうした力の結集が今回の結果につながったと思います」と振り返る。

ステークホルダーの図 ステークホルダーの図

トロント市では、移民の受け入れなどによる人口増加で、市中心部に加え、市中心部と郊外を結ぶ幹線道路でも交通渋滞が表面化していた。州政府の試算によれば、本プロジェクトにより1日当たり2万8000台分の自動車交通量の減少および年間720万リットル分の燃料削減が見込まれ、渋滞緩和だけでなく、温室効果ガス排出量の削減につながることも期待されている。

「JBICとしても、地球環境保全業務(通称『GREEN』)の一環として、高度な技術を活用した環境保全効果の高いプロジェクトとして支援を行っています。また、環境社会配慮についても、環境ガイドラインに沿ってプロジェクト全体を精査しました」(丹羽さん)

新たな地下鉄は、渋滞緩和だけでなく脱炭素への貢献という点でも期待が高いの画像

新たな地下鉄は、渋滞緩和だけでなく脱炭素への貢献という点でも期待が高い

コロナ禍で始まったウェブ協議。初対面後は結束力が一層強固に

官民連携(PPP)事業として行われる本プロジェクトは、発注主体がオンタリオ州政府機関のメトロリンクスで、日立製作所の完全子会社である日立レールSTS S.p.A.(イタリア法人)が出資するConnect 6ix General Partnership(カナダ法人)が事業を担う。全長15.6kmの地下鉄の車両および鉄道システムの供給、さらに完工後は運行・保守事業を30年にわたって請け負うことになる。

ただ、コロナ禍の2020年に公開入札手続きが始まり、プロジェクト関係者との協議が開始したのは21年。直接の対面がないまま、ウェブ会議だけで話を詰めていかなければならなかった。古屋さんは「参加者が多いことから、カメラをオフにした状態での会議が続きました。でも、そういう状況だったからこそ、いつも以上にお互い丁寧かつ率直なやり取りができた面もあると思います」と語る。

インフラ・環境ファイナンス部門 社会インフラ部 第1ユニット長代理の古屋俊洋さんの画像

インフラ・環境ファイナンス部門 社会インフラ部 第1ユニット長代理の古屋俊洋さん

2022年9月、Connect 6ixが優先交渉権を獲得したことを受け、二人はカナダへ。ようやく、各ステークホルダーとの対面を果たすことができた。このとき初めて顔と名前が一致したプロジェクト関係者も多かったという。丹羽さんは、「自分にとって初めての出張でもあり、多くの関係者と顔を合わせて、改めてプロジェクト成功に向けた結束が高まるのを感じました」と振り返る。

先進技術とJBIC──日本の力を世界の鉄道網に広げたい

今回の地下鉄事業では、日立グループの世界最先端のデジタル列車制御システムが採用される。運転間隔最短90秒という高度な輸送サービスを可能にする技術だ。日本の優れた技術による世界の脱炭素への貢献などを推進する日本政府の「CORE JAPAN」に沿ったプロジェクトとしても、大いに注目されている。

公共性が高い鉄道インフラ事業は、先進技術を有する日本企業といえども、経験や実績、資金力、信頼性などの総合評価が伴わないと容易には入り込めない。また、世界の鉄道市場における日本企業のシェアは必ずしも大きくないのが現状だ。だがその一方で、環境性能の高い鉄道は脱炭素の潮流を受けて再評価されており、高い技術力を持つ日本の鉄道産業が今後さらに海外展開を進めることが期待される。

「先進国のインフラ事業は、融資する側も激しい競争があります。今回の案件を通じて、JBICの存在や日本の政策金融機関としてのポリシーなどを知ってもらえたことは、今後につながる非常に大きな収穫です」と古屋さんは語る。丹羽さんも「これから発展が見込まれる国に対しても、鉄道における日本のプレゼンスを高めていきたい」と力強く話す。世界の鉄道網に日本の力を広く届けるべく、若きリーダーたちは次なる挑戦へ向かう。

システム登録など事務をサポートする新明しおりさんも加え、3人のチームワークで案件に取り組んだ。若手にもどんどん仕事を任せようという古屋さんの思いがうかがえたの画像

システム登録など事務をサポートする新明しおりさんも加え、3人のチームワークで案件に取り組んだ。若手にもどんどん仕事を任せようという古屋さんの思いがうかがえた

プロジェクト概要

2022年11月、カナダ・トロント市の地下鉄事業において、日立製作所の関連企業との間で、4億5000万カナダドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結。協調融資の総額は11億カナダドル

本案件に関するプレスリリース
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