特集 2023年JBIC法改正3つのポイント②
高リスクの融資に対応する「特別業務勘定」での支援を、資源開発や新技術の事業化、スタートアップの支援にも拡大。経済安全保障への対応やデジタル・脱炭素など成長分野への進出を後押しする。
国内スタートアップ企業等向け支援を新設
海外事業を行う国内スタートアップ企業や、中堅・中小企業への出資・社債取得等が可能に
国内のスタートアップ企業や中堅・中小企業の海外事業資金について、JBICはこれまで直接出資することができず、企業は海外子会社を新規に設立する必要があった。しかし出資を通じた国内調達のニーズを踏まえ、新たに海外事業展開を行う新規企業者等や中堅・中小企業に対し、直接出資および社債取得による支援が可能になった。
特にデジタル分野やグリーン分野では、スタートアップが今後大きな役割を果たす。海外への事業展開を機動的に支援することで、イノベーションの社会実装を促進する。
「新規企業者等」……設立または事業開始から10年未満の法人等(大企業の子会社等は除く)
特別業務の対象分野を拡大
資源開発、新技術・ビジネスモデル、スタートアップ企業を特別業務で支援可能に
海外インフラ事業を対象として、個別案件ごとの償還確実性を必要としない「特別業務」が2016年に開始された。この対象に「資源開発事業」「新技術・ビジネスモデルを活用した事業」「スタートアップ企業への出資・社債取得」を追加。
デジタル・トランスフォーメーション(DX)やグリーン・トランスフォーメーション(GX)への対応が求められる中、既存の枠にとらわれないイノベーションの推進は急務であり、新たな挑戦への後押しの重要性が高まっている。これらへのJBICによる支援を可能とすることで、日本企業のより一層のリスクテイクを促す。
「資源開発事業」……レアアース等のレアメタル、エネルギー源を含む資源の開発
「新技術・ビジネスモデルを活用した事業」……先端的なデジタル技術を活用した事業、脱炭素化に資する技術を活用したグリーンイノベーション関連事業、フィンテックを活用したサービス利用者の利便性向上につながる事業等