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外国政府の信用力を審査する「ソブリン審査」。エコノミストは日々のモニタリングで分析力を磨く

JBICストーリー

外国政府の信用力を見極める「ソブリン審査」は、JBICによる与信判断に欠かせない。またその国の政治経済情報や洞察を提供することで日本企業を支援している。松浦 幹に外国審査部が行うソブリン審査や情報発信について聞いた。

審査・リスク管理部門 外国審査部 第3ユニット兼審査企画ユニット松浦幹の画像 審査・リスク管理部門 外国審査部 第3ユニット兼審査企画ユニット松浦幹の画像

JBIC審査・リスク管理部門 外国審査部 第3ユニット兼審査企画ユニット 松浦 幹(まつうら・みき) 2023年入行。外国審査部にて中東・アフリカ各国のマクロ経済状況に関する審査・モニタリングに従事。これまで現地ミッションとしてアンゴラ、タンザニア、セネガル、コートジボワール、エジプト、UAE(アラブ首長国連邦)、フランスを訪問。東京大学公共政策大学院修了

50以上に及ぶ経済・金融指標を用い、対象国のソブリンリスクを分析

「その国がどの程度の返済能力を持っているか、融資をした場合、きちんとお金を返してくれるかを審査するのが『ソブリン審査』です」。外国審査部の松浦 幹はわかりやすい言葉で語る。「ソブリン」とは、英語で「国家」を意味する。つまりソブリン審査とは、出融資をする相手国の信用力を審査することだ。

松浦は、アフリカ・中東地域の約15カ国を担当し、各国の政治や経済の状況を評価・モニタリングしてきた。経済成長率、財政収支や貿易収支、公的債務残高など、ソブリン審査では実に50以上の経済・金融指標を分析する。これらを通じ、その国家が外貨建てで債務を返済する能力を見極める。定量的な分析に加え、日々、国際的な通信社や現地メディアの報道にも目を通し、国際機関や国内外の研究機関が発行するレポートなどもチェックする。あらゆる情報から信用力の分析を進めていく。

松浦幹①の画像

学生時代に経済学を学んだ松浦にとって、外国政府等の信用力を分析する外国審査部での日々はとても刺激的だという

現地訪問で肌で感じた、国を発展させようとする気迫

松浦ら外国審査部でソブリン審査を担当する職員は、JBIC内で「エコノミスト」とも呼ばれる。彼らは通常のモニタリングに加え、融資案件の承諾等に向けて詳細な審査が必要な際には、担当国に実際に足を運ぶ。相手国の政府当局者や国際通貨基金・世界銀行などの国際金融機関のエコノミスト、現地日系企業などとも面談し、情報収集や議論をする。

松浦は昨年、担当国の一つ、アンゴラを訪問した。長い内戦からの復興を経て、経済が成長軌道に近づきつつあるアンゴラの経済動向を調査することが目的で、約25カ所で面談を行った。その中でも忘れられないのが、経済関連省庁の担当者が語った場面だ。彼は「対外的にも国を開き、世界経済の中で、投資・貿易もてこにして、これから国をますます成長させていく」と自信を持って語ったのだが、国を成長軌道に乗せようとする政策当局者の強い意思に感銘を受けたと振り返る。

外国審査部のソブリン審査の流れ 外国審査部のソブリン審査の流れの図 外国審査部のソブリン審査の流れの図

また、タンザニアを訪れた際は、中央銀行の副総裁と同国の金融政策について意見を交わした。「一国のマクロ経済政策の中枢を担う方と協議できるのはとても刺激的で、ソブリン審査という業務を担う醍醐味を感じる瞬間です」と目を輝かせる。

松浦は、今年5月に締結されたコートジボワール政府との地球環境保全業務における融資案件にも携わった。JBICにとってコートジボワールへの融資は初めて。現地政府関係者との面談など、パリ駐在員事務所と綿密に連絡を取り合いながら進めた。堅調な経済成長や政策運営能力の高さ、政治やマクロ経済の安定性を評価した。「コートジボワールにおける地球環境保全の取り組みを推進するという観点から、この融資には大きな意義があると考えています」と語る。

各国大使館へのヒアリングも欠かせない。在日タンザニア大使館で特命全権大使らと面談の画像

各国大使館へのヒアリングも欠かせない。在日タンザニア大使館で特命全権大使らと面談

審査に関する情報の提供で日本企業の事業展開を支援

ソブリン審査を通じて得られた、政治経済状況に係る情報や洞察は、JBIC内に留めず、日本企業に提供しその事業展開を側面支援している。その国の今後のマクロ経済の見通しやリスク、政策の動向に関する洞察を提供することで、日本企業の新規や既存のビジネスにおける機会把握やリスク判断に役立ててもらおうとするものだ。

松浦は以前、チュニジアに進出を考えている日本企業を個別に訪問し、チュニジアの状況について説明した。「情報が少ない国なので、この面談を通じ、企業側も進出に当たって検討すべきポイントを適切に認識できたのでは」と手ごたえを感じられる機会だった。

松浦幹②の画像

JBICは世界各国で業務を行うが、どれ一つとして同じ国はない。当然、エコノミストには、担当地域・国の深い知見が求められる。ただ一方で、「比較の目」を持てるのが、JBIC外国審査部の強みだ。世界各国を担当するエコノミストが一堂に会し自由闊達に議論することで、世界的なマクロ経済・地政学リスクが各国にどう波及するか、特定の資源輸出に依存する国々の見通しがどう変化するかなど、短時間で多面的な分析が可能になる。

学生時代から経済学を勉強し、入行前から外国政府の審査に携わりたいと考えていた松浦。ソブリン審査の担当となったことで、国際政治や経済動向への関心がさらに高まったと述べる。「現在の業務を通じて経験を積み重ねながら、今後は相手国の成長戦略や産業政策を深く理解した上で、日本企業と共にその課題解決に寄り添えるような案件を創出していきたい」と未来を見据える。

松浦幹③の画像

JBIC審査・リスク管理部門 外国審査部 第3ユニット兼審査企画ユニットの松浦 幹

概要

外国審査部は外国政府等のソブリンリスク(当該国政府の信用リスク)の分析・評価を行う部署。新興国をはじめとする海外でのプロジェクトに対して長期与信による支援を行う上で不可欠な審査機能を担う。各地域や経済・金融のさまざまな専門性を備えたエコノミストたちが世界の国々をモニタリングしている

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