JBIC「グローバルサウス」プロジェクト7選
グローバルサウスでも再エネ投資が活発。風量、風向きに加えて季節変動も考慮した事業計画を策定し、JBICはエジプトの陸上風力発電事業に継続的な支援を実施した。担当した小川力生さんが解説。


陸上風力発電の適地は平野に限られるが、施工・メンテナンス面では洋上風力発電よりも強みがある
再エネ増強を掲げるエジプト政府。日本政府の支援方針とも合致
気候変動対策として再生可能エネルギーへの投資が続くのは、グローバルサウスの一角を占めるアフリカでも同様。JBICは2023年3月、豊田通商やユーラスエナジーら日本企業も出資するエジプト法人レッド・シーとの間で貸付契約を締結した。陸上風力発電事業のプロジェクトファイナンス案件だ。
風力発電の場合、重要なのは「風況」、つまり風量や風向きとなる。近年は洋上風力発電が市場を牽引するが、陸上風力発電はタービンの大型化が進展。風況のよい土地を確保できればまだまだ開発の余地がある。そこで、17年に貸付契約を締結した1号案件の実績を踏まえ、発電規模を増強したのが23年の2号案件だった。
「エジプト東部の発電所が位置するエリアでは、夏に比べ冬は風況が悪化する季節変動があります。これを考慮に入れた返済計画を立てることで事業が円滑に進むようにしています」と、JBICインフラ・環境ファイナンス部門の小川力生さんは説明する。

エジプト政府は再エネ由来の発電設備容量を30年までに35%、35年までに42%まで増強する目標を掲げる。同国が依存してきた火力発電から再エネへの移行を推進する上での貢献が見込まれており、ホスト国のエネルギー政策に適合したカーボンニュートラル移行への支援を方針に掲げる日本政府の意向とも合致したプロジェクトだ。


JBIC インフラ・環境ファイナンス部門
電力・新エネルギー第1部
第2ユニット(欧阿中東及び米州担当)
小川力生(おがわ・りき)さん
2021年入行。欧阿中東地域の再エネIPP 案件組成等に従事。カリフォルニア大学デービス校工科大学院卒業