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インドネシアが取り組むバイオ燃料によるエネルギー安全保障

特集エネルギー安全保障の新たな選択肢 バイオ燃料の現在地

インドネシアが取り組むバイオ燃料によるエネルギー安全保障の画像 インドネシアが取り組むバイオ燃料によるエネルギー安全保障の画像

2026年5月、JBICはプルタミナとの覚書を更新。ワークショップも開催した (Photo: Courtesy of the Pertamina Energia Team)

OVERVIEW OVERVIEW

世界最大のパーム油生産国で、豊富な資源を生かしたバイオ燃料の導入を国家戦略として進めるインドネシア。同国にとってバイオ燃料は、地政学リスクに対応するエネルギー安全保障の切り札としての側面が強い。パーム油由来のバイオディーゼルでは、すでに軽油に40%を混合するB40が義務化。バイオ燃料普及を主導する国営石油会社プルタミナは、さらにバイオエタノールやSAF関連事業にも取り組む。日本企業との協業も活発化しており、エネルギートランジションを支えるアジアの要衝として注目されている。

自国の豊富な資源を活用し、バイオ燃料の導入を国家戦略として強力に推進するインドネシア。気候変動対策にとどまらず、国内需要の創出やエネルギー自給率の向上というエネルギー安全保障の観点が強い。

その最前線に立つのがプルタミナだ。同社との日常的な連携を担う後藤勇樹は、その立ち位置をこう語る。「インドネシアのエネルギー供給の中核を担いながら、政府が掲げるエネルギートランジション政策の面でも中心的な役割を果たす存在です。既存のエネルギー安全保障に関する事業に加えて、水素などクリーンエネルギーやバイオ燃料関連事業にも注力しています」

山崎淳・後藤勇樹の画像

JBIC 資源ファイナンス部門 エネルギー・ソリューション部 第2ユニットの山崎 淳(左)と後藤勇樹(右)

日尼連携でレジリエンスを高める

JBICとプルタミナは、2022年にクリーンエネルギー推進に関する覚書を締結。実際の融資案件の組成やワークショップの開催も行い、信頼関係を築き上げてきた。

そして26年5月、両社はこれまでの協力を拡張する形で覚書を更新した。前回からの再生可能エネルギーや水素・アンモニア、CCS(二酸化炭素回収・貯蓄)に加えて、バイオ燃料、そしてエネルギーレジリエンス関連事業などの分野でも協力関係を強化していくことが新たに盛り込まれた。

背景には、中東依存の調達構造を見直し、アジア域内での供給網を強化したいという共通認識がある。後藤とともに今回の覚書締結に携わった山崎 淳はこう話す。「ホルムズ海峡の封鎖というリスクが現実となり、世界は改めてエネルギーを物理的に確保する重要性を思い知らされました。インドネシアは原油を産出しますが輸入にも頼っており、価格高騰の影響を受けています。いかにアジア域内で連携してレジリエンスを高めていくか。その危機感をプルタミナと共有しています」

脱炭素の旗は降ろさない。同時に、エネルギー安定供給も守りたい――。この方針を共有していたからこそ、深いレベルでの合意がスムーズに実現したという。

山崎 淳①の画像

JBIC 資源ファイナンス部門 エネルギー・ソリューション部 第2ユニットの山崎 淳

日本企業に好機を。協業に向けた関係構築

この強固な関係を具体的なビジネスへと昇華させるため、26年5月、覚書締結に合わせてジャカルタのプルタミナ本社で共同ワークショップが開催された。日本からは商社や金融機関、エンジニアリング会社など14社、総勢約60名が参加した。

「バイオ燃料をテーマにやりたいと打診を受け、実現したワークショップです。プルタミナと日本企業が交流する場を設け、将来の協業につなげることが目的でした。その際、JBIC資源ファイナンス部門長の天野とプルタミナのCFOというハイレベルな直接対話のホットラインを作ることでさらなる協力関係の強化を図りました」

後藤勇樹①の画像

JBIC 資源ファイナンス部門 エネルギー・ソリューション部 第2ユニットの後藤勇樹

ワークショップでは、プルタミナからバイオ燃料の将来戦略が語られ、JBICからはファイナンスメニューや環境社会配慮の要点が説明された。「参加者から『非常に有意義だった』との声がありました」と後藤。一方で、山崎はインドネシアの実装のスピード感に圧倒されたという。

「彼らはすでにパーム由来の燃料を40%混合したB40を導入し、さらにB50の導入およびバイオエタノールの本格展開を目指しています。自国の資源に強いプライドを持ってセクターを動かしているのを感じました」

日尼が連携し、サプライチェーンを強化することは両国のエネルギー安全保障にもつながる。日本企業が現地のサプライチェーンに参画し、ビジネスを展開する余地は大きい。バイオディーゼルを筆頭にバイオ燃料の社会実装を進めているインドネシアの動向から今後も目を離せない。


山崎 淳②の画像

PROFILE

山崎 淳②の画像

JBIC 資源ファイナンス部門
エネルギー・ソリューション部 第2ユニット

山崎 淳

2014年入行。インフラ・環境ファイナンス部門企画調整ユニット、電力・新エネルギー第2部、シンガポール駐在、経営企画部および海外留学(MBA)を経て、24年7月よりアジア・中東・中南米地域向けのエネルギー案件に従事

後藤勇樹②の画像

PROFILE

後藤勇樹②の画像

JBIC 資源ファイナンス部門
エネルギー・ソリューション部 第2ユニット

後藤勇樹

2017年リース会社に就職。26年にキャリア採用で入行。エネルギー・ソリューション部にてアジア地域の石油・天然ガスやエネルギートランジション関連の案件に従事。早稲田大学商学部卒

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