株式会社国際協力銀行(JBIC)総裁の林信光は、2024年2月19日に東京で開催された日・ウクライナ経済復興推進会議に登壇し、ウクライナの復興に向けたJBICの取り組みにつき、講演を行いました。
JBICの新たな取り組みとして、(1)黒海貿易開発銀行(the Black Sea Trade and Development Bank)との覚書の締結*1、(2)国際金融公社(IFC)との覚書の締結*2、(3)「ウクライナ復興・周辺国支援担当特命駐在員」の設置*3を発表しました。これらも通じて、ニーズに応じた取り組み・支援を行っていきます。
JBIC総裁の林によるスピーチ概要は以下の通りです。
ロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナに甚大な被害を与え続け、更にサプライチェーンの分断など、特に多くの貧困国に困難をもたらしています。決して許されるものではなく、国際社会の強い結束を改めて示すべきです。
先のEU首脳会議で合意された総額500億ユーロのウクライナ・ファシリティは、国際社会の力強いウクライナ支援継続の意思を示すものであり、日本も、本日の推進会議を通じて、官民が一丸となって、「日本ならでは」のウクライナ支援の継続・強化を表明したものと承知しております。JBICにおいても、我が国の政策金融機関として、ウクライナ支援に鋭意取組んでおります。
2023年5月、ポーランド開発銀行(BGK)が発行する930億円のサムライ債に対する保証により、ウクライナ支援基金(Aid Fund)の資金調達を支援いたしました。同基金は、ポーランドに避難したウクライナの方々向けに、医療・教育・住宅施設等の人道支援資金を拠出しており、本件は、5月のG7広島サミットの際にゼレンスキー大統領からも謝意を頂戴いたしました。
私自身も、ポーランドのウクライナ避難民施設を訪問して、避難民の方々と直接お話しし、JBICが支援した基金の援助が、ウクライナの方々に届いていることも確認しました。当時のポーランドのモラヴィエツキ首相と面談し、ウクライナ周辺の同志国との連携を通じたウクライナ支援の重要性を再認識したところです。
本日、この推進会議におきましては、JBICの3つの新たな取り組みをご紹介いたします。
1つ目は、ウクライナを含む黒海の周辺国が加盟する国際金融機関である黒海貿易開発銀行(the Black Sea Trade and Development Bank)とのMOU締結です。ここにご参列いただいているセルハット・キョクサル総裁、更には元ウクライナ経済副大臣であるヴァレリー・ピャトニツキー副総裁に、今朝JBIC本店にお越し頂き、ウクライナ経済副大臣ご臨席のもと、MOUを調印して、連携の加速を確認致しました。今後、JBICは、同開発銀行向けに150百万米ドルのTSLの供与を協議し、ウクライナ・周辺国におけるウクライナ復興に繋がる企業活動を後押ししてまいります。
2つ目は、ウクライナ復興支援を睨んだ国際金融公社(IFC)とのMOUの更新です。今回の更新では、従来からの協力に加え、ウクライナ・周辺国向け支援で連携強化を図ることとしております。
なお、JBICは、欧州復興開発銀行(EBRD)と共に、2023年5月ウクライナ投資プラットフォームの設立を先導致しましたが、このプラットフォームを通じたG7及び欧州の開発金融機関との協働も進めております。
3つ目は、「ウクライナ復興・周辺国支援担当特命駐在員」の新たな設置であります。当面パリに駐在しつつ、ウクライナ及び周辺国における日本企業への支援のニーズを現地で把握し、具体的な支援につなげてまいります。
JBICは、今後とも多様なチャネルを活かしつつ、意欲のある日本企業の皆様を最大限お支えし、ウクライナの復興支援ニーズに寄り添った支援を実現してまいります。
注釈
- *1
2024年2月19日付プレスリリースをご覧ください。
- *2
2024年2月19日付プレスリリースをご覧ください。
- *3
2024年2月19日付お知らせをご覧ください。