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2009年10月20日
- 国際協力銀行(JBIC、経営責任者:渡辺 博史)*1は、19日、アラブ首長国連邦(以下「UAE」)アブダビ首長国法人ルワイス・パワー・カンパニー社(Ruwais Power Company P.J.S.C.、略称:RPC)との間で「シュワイハットS2天然ガス焚き複合火力発電・淡水化プロジェクト」を対象に、総額約11億1,100万米ドルを限度とするプロジェクトファイナンス*2関連契約に調印しました。本融資は、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社みずほコーポレート銀行、住友信託銀行株式会社等の金融機関との協調融資です。本件は、JBICの環境投資支援イニシアティブ(LIFE Initiative)に基づく*3、中東向けの第1号案件です。
- 本プロジェクトは、丸紅株式会社が、フランスのGDFスエズ社の子会社であるスエズ・トラクテベル社及びアブダビ水・電力庁と共に設立したRPCが、同首長国首都アブダビの南西250kmに位置するシュワイハットにおいて、約1,507MWの天然ガス焚き複合火力発電所及び淡水化能力1億ガロン/日の造水設備を建設し、BOO方式*4にて25年間に亘りアブダビ水・電力会社(Abu Dhabi Water and Electricity Company)に売電・売水するものです。
- UAEの経済規模の約6割、人口の3割強を占めるアブダビ首長国では、急速な経済成長を背景として、電力及び水の大幅な需要増加が予想されています。本プロジェクトは、2011年のアブダビ首長国の電力供給量の16%程度、水供給量の12%程度を担う予定であり、同首長国における電力・水供給源として重要な役割を果たすことが期待されます。
- 世界的な資源需給の逼迫が中長期的に継続することが見込まれる中、日本にとって資源保有国との関係強化はますます重要な課題となっています。本融資は、日本の原油総輸入量の約23%を依存するUAEにとって急務となっているインフラ整備を支援するものであり、日本企業によるIWPP*5事業への支援を通じて、資源を超えた両国間のさらなる重層的な経済関係の構築にも資するものです。
- JBICは、今後も両国間の経済関係の一層の深化・発展に寄与するとともに、日本の公的機関として、案件組成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業の水セクターをはじめとする環境分野での海外事業展開を金融面から支援する方針です。
注釈
- *1 国際協力銀行(JBIC)は、株式会社日本政策金融公庫(総裁:安居 祥策)の国際部門です。
- *2 プロジェクトファイナンスとは、主にプロジェクトのキャッシュフローを担保とする融資スキームのこと。尚、JBICが、プロジェクトファイナンスにより、UAEにおけるインフラプロジェクト向けに融資を供与するのは、タウィーラB発電・淡水化プロジェクト(2005年4月貸付契約調印)、フジャイラF2発電・淡水化プロジェクト(2007年12月貸付契約調印)に次いで本件が3件目。
- *3 本件は、石油・石炭よりも二酸化炭素排出等の環境負荷の少ない天然ガスを使用、発電設備には熱効率に優れたコンバインドサイクルを導入し、また発電に伴う排熱を有効利用した海水淡水化を行う環境投資プロジェクトです。「環境投資イニシアティブ」については、2009年3月16日付けのお知らせをご参照下さい。
- *4 BOO方式(Build, Own, and Operate)とは、契約期間中に民間企業が、発電所等のプラントを建設(Build)、所有(Own)、運営(Operate)継続する事業方式のこと。
- *5 IWPP(Independent Water and Power Producer)とは、自前で発電・淡水化設備を建設・運営し、電力・水を販売する独立系発電・淡水化事業者のこと。