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2011年4月1日
- 国際協力銀行(JBIC、経営責任者:渡辺 博史)*1は、3月31日、インド法人ICICI銀行(ICICI Bank Limited、略称ICICI)との間で、(1)日本からのインド向け火力発電用ボイラー・タービン輸出を融資対象とするバンクローン、および(2)インドでの再生可能エネルギー・省エネ案件を対象とする事業開発等金融の計2件の貸付契約に調印しました。概要は次の通りです。
(1) インド超臨界圧石炭火力発電所向け輸出バンクローン
・ 本件は、三菱重工業株式会社(以下、「MHI」という)が製造する超臨界圧ボイラー・タービン(輸出者:丸紅株式会社)を、インドの建設・重機最大手ラーセン・アンド・トウブロ(Larsen & Toubro Limited、略称L&T)とMHIの合弁会社*2が加工し、マディヤプラディッシュ州ニグリ(Nigrie)地区にて超臨界圧石炭火力発電所を建設・運営するインド法人Jaiprakash Power Ventures Limited(略称JPVL)*3向けに販売するものです。融資金額は、総額153億円で、株式会社三菱東京UFJ銀行(幹事行)との協調融資によるものであり、JPVLの本件設備の購入資金に充てられます。
・ インドでは、近年の急速な経済成長に伴う電力需要増大に供給が追いつかず、慢性的な電力不足が続いており、インド進出日系企業も含め、こうした電力インフラ供給のボトルネック解消は喫緊の課題です。インド政府の第11次5ヵ年計画では大規模な電力設備増強が計画されていますが、なかでも豊富な国内炭を利用した電力安定供給と環境負荷低減とを両立し得る、超臨界圧石炭火力発電への期待が高まっています。
・ このような状況下、MHIをはじめ多くの日本企業が高い技術力を活かしてインド火力発電市場へ参入しており、本融資はこうした日本企業の海外インフラビジネス機会獲得を金融面から後押しするものです。
(2) インドでの再生可能エネルギー・省エネ案件を対象とする事業開発等金融
・ 本件は、インドにおける再生可能エネルギー案件及びエネルギー効率化案件を対象とした環境関連融資に必要な資金を、ICICI向けに融資するものであり、地球環境保全業務(通称「GREEN」)*4の下で初のアジア地域向け融資案件となります。融資金額は、総額200百万米ドルで、株式会社三井住友銀行(幹事行)との協調融資によるものです。
・ インド政府は、2020年までに国内総生産(GDP)単位当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を2005年比で20~25%削減するとの数値目標を掲げると共に、中長期環境政策である「気候変動に関する国家行動計画(NAPCC)」の下、National Solar Mission*5等の分野毎の目標達成に向けた取り組みを加速しています。
・ こうした中、本融資は、温室効果ガス排出削減やインド政府の環境政策促進といった地球環境保全への貢献はもとより、国際的に高く評価される日本の先進技術がインドに普及する一助となり、日本の優れた環境技術の一層の活用を通じて、日本経済の活性化につながると期待されます。
- ICICIは、インド第2位の民間金融機関であり、地場有力企業との幅広い取引関係を有し、多くの国内インフラ向け融資等にも関与しています。これまでJBICとICICIは、インド進出日系企業に資する裾野産業支援、CDM事業推進、金融危機下の貿易金融支援等を目的とした融資を通じて、緊密な協力関係を築いてきました。今回の融資のようなインド地場金融機関との連携は、日本企業のインド進出及び地場企業との協力の効果的推進、あるいは有望案件の早期発掘・形成に寄与するものと期待されます。
- 今後とも、JBICは、成長市場であるインドへの輸出を含めた日本企業のビジネス展開を、金融面から着実に支援する方針です。また、日本の先進技術の普及にも留意しつつ、地球環境保全に向けた取り組み等も実施していきます。
注釈
- *1 国際協力銀行(JBIC)は、株式会社日本政策金融公庫(総裁:安居 祥策)の国際部門です。
- *2 インド法人L&T-MHI Boilers Private Limited及びL&T-MHI Turbine Generators Private Limitedの2社。JBICは2009年7月、両社に対し生産設備の建設資金を融資しています。2009年7月28日付けプレスリリースをご参照下さい。
- *3 インドの財閥系企業Jaypeeグループの電力会社。同グループは発電事業のほか、セメント、不動産等の多様な事業を手がけています。
- *4 2010年4月1日付けお知らせをご参照下さい。
- *5 2020年までに太陽光発電によりインド国内で20ギガワットの電力を生産することを掲げた国家計画。