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2012年12月18日
- 株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:奥田 碩)は、本日、オーストラリア連邦法人Ichthys LNG Pty Ltd(以下「イクシスLNG社」)との間で融資金額50億米ドル限度(JBIC分)のプロジェクトファイナンス*1による貸付契約に調印しました。本融資は、民間金融機関及び他国輸出信用機関との協調融資*2(協調融資総額は160億米ドル)であり、民間金融機関融資の一部には、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)及び他国輸出信用機関*3の保険または保証が供与されます。JBICの1件あたりの融資承諾額(米ドル建)としては過去最大の規模となります。なお、本融資は、JBICの「円高対応緊急ファシリティ」*4の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件です。
- 本プロジェクトは、イクシスLNG社に間接出資する国際石油開発帝石株式会社(以下「INPEX」)、フランス共和国法人TOTAL S.A.、大阪瓦斯株式会社、東京瓦斯株式会社、東邦瓦斯株式会社及び中部電力株式会社が、西豪州沖合に位置するイクシスガス・コンデンセート*5田を開発し、原料ガスを海底パイプラインにて北部準州ダーウィンに建設する液化設備まで輸送した上、イクシスLNG社を通じ、液化天然ガス(LNG)(年間生産能力840万トン)のほか、液化石油ガス(LPG)及びコンデンセートを生産・販売するものです。本件は、本プロジェクトにおけるガス・コンデンセート田の開発及びLNG等の生産に必要な資金を融資するものです。
- 本件では、INPEXが、日本企業として初めてガス・コンデンセート田の開発からLNG等の生産までを一貫して行うプロジェクトのオペレーターを務めるとともに、INPEX及び日本の電力・ガス会社が本プロジェクトの権益の約7割を保有し、生産されるLNGの約7割(約567万トン/年)を日本企業が引き取る予定です。日本政府の「資源確保戦略」*6においても、本件のように日本が主導するLNGプロジェクトに対する取り組みの重要性が謳われています。
- 世界のLNG需要は、新興国での需要増や環境意識の高まり等から、今後も増加することが予想されています。日本にとっても、近年、LNGの安定調達への期待が一層高まっていますが、主要なLNG供給国であるインドネシアからの供給が大幅に減少することが見込まれている他、その他の国々との長期購入契約についても順次更新時期を迎えており、埋蔵量が豊富且つ政治・経済の安定した豪州のLNG供給国としての重要性は益々高まっています。こうした中、本プロジェクトにおいて日本企業の資源開発を支援することは、日本にとってのLNGの安定的な調達確保の観点からも重要な意義を有します。
- JBICは、今後も、様々な金融手法を活用した案件組成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業による天然ガスや原油などの権益取得や開発を積極的に支援し、日本のエネルギー安全保障に貢献していく所存です。
注釈
- *1 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのことです。
- *2 本件の協調融資には、株式会社みずほコーポレート銀行、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社、みずほ信託銀行株式会社、株式会社新生銀行の邦銀7行を含む国内外の民間金融機関等24行と、韓国輸出入銀行(KEXIM)及び豪州輸出金融保険公社(EFIC)が参加します。
- *3 本件の民間金融機関融資の一部には、韓国輸出入銀行(KEXIM)による保証、並びに韓国貿易保険公社(K-sure)、アトラディウス(Atradius)、ヘルメス信用保険会社(HERMES)、及びフランス貿易保険会社(COFACE)の保険が供与されます。
- *4 2011年9月22日付お知らせ、2012年8月31日付お知らせ及び2012年12月5日付お知らせをご参照下さい。
- *5 コンデンセートとは、天然ガスの採取・精製の過程で得られる常温・常圧で液体の炭化水素であり、一般の原油より軽質で、ガソリン、軽油、ジェット燃料、ナフサ等に精製されるものです。
- *6 「資源確保戦略」は、2012年6月に開催された「第15回パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合」において報告されたものです。