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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、2日、マレーシアのPetroliam Nasional Berhad(PETRONAS)(以下「ペトロナス」、CEO:Tengku Muhammad Taufik)との間で、両機関のパートナーシップ強化のための覚書を更新しました*1。
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ペトロナスは、マレーシアを本拠とする国営のグローバルエネルギー企業であり、100カ国以上で事業を展開しています。同社は、2050年までのカーボンニュートラルの達成に向け、低炭素・脱炭素燃料事業の強化を表明しています。本覚書は、水素・アンモニアのバリューチェーン事業、再生可能エネルギー、CCS*2バリューチェーン事業 、国内外の送電網整備などの分野においてJBICとペトロナスの協力関係を強化し、マレーシア国内外でのペトロナスと日本企業との協業を促進することを目的とするものです。
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マレーシア政府は2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2005年比で45%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを目指すと表明しています。2023年に発表されたNational Energy Transition Roadmap(NETR)では、脱炭素化の加速を目的とした主要な戦略的6分野として、(1)再生可能エネルギーの拡大、(2)水素エネルギーの導入、(3)炭素回収・利用・貯留技術の活用、(4)バイオエナジーの推進 、(5)エネルギー効率の向上、(6)グリーンモビリティの推進を掲げています。
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JBICは、2024年6月に公表した第5期中期経営計画において、カーボンニュートラルと経済発展の統合的実現への貢献を重点目標に掲げ、世界のグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた取り組みや、各国のカーボンニュートラルへの多様な道筋を踏まえたエネルギートランジションに向けた取り組みを支援しています。本覚書の更新は、こうしたJBICの中期経営計画に沿った取り組みです。
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また、日本政府は2022年1月、日本企業が強みを持つ技術・知見を活かし、エネルギートランジションに向けたアジア各国の取り組みを支援し、協力する枠組みとして「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を提唱しました。マレーシアはAZECの重要なパートナー国であり、本覚書の更新は、日本およびマレーシア両国の協業による脱炭素化に向けた取り組みを通じて、AZECイニシアティブを推進することも目指しており、日本政府の方針にも沿うものです。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として覚書の更新等を通じてマレーシアおよびペトロナスとの関係を強化することにより、脱炭素分野等における日本企業の事業機会の創出やビジネス促進を金融面から支援していきます。
注釈
- *1
JBICは2022年9月にペトロナスとの間で覚書を締結しています。詳細は2022年9月27日付プレスリリースをご参照ください。
- *2
CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、温室効果ガスとなる二酸化炭素を分離・回収し、深海や地中に貯留する技術です。