JBICメニュー閉じる

  • EN
  • 検索閉じる
JBICについて
JBICについて

JBICの役割や組織に関する情報についてご案内します。

閉じる

支援メニュー
支援メニュー

支援メニューについてご案内します。

閉じる

業務分野
業務分野

業務分野についてご案内します。

閉じる

情報発信
情報発信

情報発信についてご案内します。

閉じる

サステナビリティ
サステナビリティ

サステナビリティに関する取り組みをご案内します。

閉じる

プレスリリース
プレスリリース

プレスリリースについてご案内します。

閉じる

IR情報
IR情報

IR情報についてご案内します。

閉じる

世界トップクラスの引抜加工技術を活かし事業多角化に挑戦。一貫生産体制を貫くアルミ加工専業メーカー

わが社のグローバル展開 日本伸管株式会社

アルミの「引抜加工技術」を武器に、1990年代から海外への技術供与を開始。国内だけでなくタイでも事業拡大を図るべく、業界では数少ない一貫生産体制を構築している。

日本伸管株式会社/代表取締役社長細沼直泰さんの画像 日本伸管株式会社/代表取締役社長細沼直泰さんの画像

日本伸管株式会社/代表取締役社長 細沼直泰さん 東京工業大学大学院理工学修士修了後、ソニーに入社。2001年、父が創業した日本伸管に入社し、08年に社長就任。「『小さな世界一企業』を目指す」をスローガンに、国内外の販路開拓や新規案件・新規顧客の獲得に取り組んでいる

埼玉・福島とタイの生産拠点で、アルミパイプの加工を行う

金属の中でも軽く、耐食性や通電性、熱伝導率に優れたアルミニウム。十分な強度を維持しながら部品を軽量化でき、複雑な形状にも対応しやすいことから、自動車のATスプールバルブ(自動車のオートマチックトランスミッションの油圧調整部品)やパワーバックドア(電気モーターで自動開閉可能な車両のバックドア)部品、カメラの鏡筒材、コピー機の感光ドラムなどさまざまな製品の部品に使用されている。

埼玉県新座市に本社を構える日本伸管は、アルミパイプの引抜、加工、表面処理等を行うアルミ加工専業メーカー。本社、福島(西郷村)、タイの3カ所に生産拠点を持ち、政府から「世界に誇るアルミ加工技術」と称された高い技術力で、材料調達から組み立てまで担う一貫生産体制を確立している。

「お客様のアイデアを形にするには柔軟な技術力・対応力が大事。安定した品質で大量生産に対応できること、トータルのコストを下げる一貫生産のニーズに対応できることが、我々の強みです」と細沼直泰社長は語る。1967年の創業以来、アルミパイプを常温で金型の狭い穴に通し、直径や断面積を縮小させる「引抜加工技術」に特化し技術を高めてきた。

高い専門技術と大量生産にも対応可能な体制で、精密機器から生活用品まで、幅広い分野のアルミ部品を手がけている。カメラの鏡筒などが工場内に積まれているの画像

高い専門技術と大量生産にも対応可能な体制で、精密機器から生活用品まで、幅広い分野のアルミ部品を手がけている。カメラの鏡筒などが工場内に積まれている

だが、現状に甘んじて成長を止めればいずれ限界が訪れる──。こう考えたのは前社長の細沼哲夫氏。85年には金属の耐食性を向上させる表面処理を行う硬質アルマイト工場として、株式会社アルマを設立。業界では数少ない、素材調達から金属加工、表面処理まで手がける日本伸管の礎が築かれた。

将来を見通した枠に捉われない発想力は、2008年の社長交代以降も受け継がれている。「依頼をできるだけ断らないようにしており、ニーズに挑戦することで新しい可能性が広がっている。最近は製品の組み立てや袋詰めまで社内で挑戦しています」と細沼社長は説明する。

安定的な大量生産が可能。産業機器に留まらない挑戦

OA機器からカメラ部品、自動車部品、農林機器、家庭用品、鉄道部品、さらには南極の分厚い氷を掘削するパイプまで。日本伸管の手がける仕事は多岐にわたる。

国立極地研究所が立ち上げた「南極氷床深層掘削計画」は、100万年前の南極の氷に含まれる大気成分などから地球の地殻機構や気候変動のメカニズムを解明する壮大なプロジェクト。03年、日本伸管が独自に製造した外管はより深い地点での氷床コア採掘を可能にし、人類の未来に貢献するとともに、日本の優れた技術力を世界に知らしめる機会となった。

細沼社長によると、同社の転換期は、掃除用品の部品を製造したことだ。ピーク時には出荷ベースで月100万本を突破するなど、大量生産のニーズに応えた。過去に感光ドラム材の生産量が月200万本(世界シェア3位)を超えた実績を評価されてのことだった。

「作ること自体は難しくはない。でも、毎月50万~100万本を質・量ともに安定的に作るのはまったく別の次元の話なんです」。この経験は社員全員の視野を広げ、その後の躍進につながるきっかけになったと振り返る。

「依頼はできるだけ断らない」という気概で、新たなチャレンジを続ける代表取締役社長の細沼直泰さんの画像

「依頼はできるだけ断らない」という気概で、新たなチャレンジを続ける代表取締役社長の細沼直泰さん

現地生産のニーズを汲み、タイでの収益・販路拡大を目指す

もう一つ、創業期から受け継がれているのが、海外市場を視野に入れた経営戦略だ。90年代初頭、日本を代表する製造業の一つであるOA機器が、欧州諸国の注目を集めた。なかでも高い技術力を買われた日本伸管は、イギリス企業に技術供与を開始。この時の経験が、のちのタイ進出に大いに生かされた。

12年9月、日本伸管はアユタヤ県にタイ工場を設立。当時、現地には高い技術力を持つ日系のアルミ伸管業者がほとんど進出していなかった。また、タイは他の東南アジア諸国と比べ産業基盤が整っており、原材料の入手も容易な上、優良な労働力の確保ができ、日系企業も多くビジネスチャンスの拡大を図れることが決め手となった。

細沼社長は言う。「当時リーマンショックで日本の景気が落ち込む中、タイが持つ活気に強く惹かれました。高度経済成長期の日本のような雰囲気があり、これまで自分たちが培ってきたノウハウを活かせるのではないかと肌で感じました」。タイ工場は22年に創業10周年を迎え、23年には第二工場が完成。日系企業を中心に販路拡大を続けている。

2023年に完成したタイ第二工場。敷地面積は3万5000平方メートル以上あり、従業員は100名を超える。OA機器のほか、新たに受注した小型電子機器の部品もここで手がけるの画像

2023年に完成したタイ第二工場。敷地面積は3万5000平方メートル以上あり、従業員は100名を超える。OA機器のほか、新たに受注した小型電子機器の部品もここで手がける

海外進出して得た知見は、国内では得られなかった多くの情報が手に入り、世界の市場を俯瞰できるようになったことだ。顧客は「御社は海外に工場を持っているから」と現地でしか知らない情報を教えてくれる。一歩でも踏み出した会社と、気持ちが先行しているだけの会社との、大きな差だ。

グローバル人材の育成など中小企業ならではの課題はあるが、歩みを止めるつもりはない。14年に国内に設立した技術開発センターでさまざまな要望に応えるべく技術開発を進めるほか、23年12月にはタイでの一貫生産体制を活かし、農林機器を中心に業容の拡大を目指す。「商品化の実現をお手伝いするのがわが社の仕事。素材引抜のその先まで対応できる強みを活かし、今後も技術の幅を広げていきたいと思います」

目指すは「小さな世界一企業」。専門特化と多角化をバランスよく進め、長期的な技術開発促進により顧客の要求に応え続けていく。

日本伸管株式会社

1967年 会社設立
1976年 福島・白河工場完成
1985年 株式会社アルマ(硬質アルマイト工場)設立
1991年 イギリス企業に技術供与開始
2003年 南極氷床掘削ドリル外管の開発・製造
2012年 Nihon Shinkan (Thailand) 設立
2014年 技術開発センター設立
2023年 タイ第二工場完成
融資概要

2018年3月以降、日本伸管のタイ法人NIHON SHINKAN (THAILAND) Co., Ltd.との間で合わせて9900万タイ・バーツ(JBIC分・限度)の貸付契約を締結。武蔵野銀行や埼玉りそな銀行との協調融資。同国でのアルミ製品の製造・販売事業を支援するとともに、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献

直近案件(2023年3月)に関するプレスリリース
今号トップに戻る