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日本企業が培ってきた地熱発電の技術を生かす契約。首脳会談前日の深夜に締結という緊迫した状況だった

JBICストーリー インドネシア インドネシア

インドネシアでは、日本企業の技術・経験を生かした地熱発電の拡張事業へのプロジェクトファイナンスが行われている。この融資交渉に臨んだJBICの白濱学、山西みな美に、その舞台裏を聞いた。

(左)インフラ・環境ファイナンス部門 電力・新エネルギー第1部第3ユニット調査役白濱学、(右)インフラ・環境ファイナンス部門 電力・新エネルギー第1部第3・4ユニット(当時)山西みな美の画像 (左)インフラ・環境ファイナンス部門 電力・新エネルギー第1部第3ユニット調査役白濱学、(右)インフラ・環境ファイナンス部門 電力・新エネルギー第1部第3・4ユニット(当時)山西みな美の画像

(左) インフラ・環境ファイナンス部門
電力・新エネルギー第1部
第3ユニット調査役 白濱学 2011年中央官庁に就職、その後、21年キャリア採用で入行。エネルギー・ソリューション部を経て、アジア大洋州の電力セクター向けプロジェクトファイナンス案件組成に従事。東京大学法学部卒業、シンガポール国立大学大学院修了

(右) インフラ・環境ファイナンス部門
電力・新エネルギー第1部
第3・4ユニット(当時) 山西みな美 2022年入行。電力・新エネルギー第1部にて主にインドネシアにおける発電事業の既往案件管理および新規承諾に従事。東京大学教養学部卒業

日インドネシア首脳会談でも言及。AZEC構想での最重要プロジェクト

2060年のカーボンニュートラル達成を目指すインドネシアにとって、再生可能エネルギー事業の推進は喫緊の課題だ。地熱資源が豊富な同国では地熱発電に力を入れており、19年12月にムアララボー地熱発電所が商業運転を開始。25年1月に行われた日本とインドネシアの首脳会談でもムアララボー地熱発電拡張事業への融資が取り上げられ、その重要度が垣間見える。

「実は、この融資契約の締結が完了したのは、首脳会談直前の前日深夜のことでした」と、緊迫した成り行きを明かすのは、このプロジェクトファイナンスの契約交渉をリードしたインフラ・環境ファイナンス部門電力・新エネルギー第1部第3ユニット調査役の白濱学だ。

白濱学①の画像

インドネシア政府と日本企業の橋渡し役として、一歩踏み込んだ形でプロジェクトを動かすJBICならではの役割を語る白濱学

日本政府が提唱しアジア各国の脱炭素化を推進するAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)構想において、最重要プロジェクトの1つであるこの案件には、地熱発電の知見を持つ複数の日本企業が出資し、融資する金融機関も民間から国際機関と多岐にわたる。

また、融資の返済原資をプロジェクトが生み出すキャッシュフローに限定するプロジェクトファイナンスでは、その収益性の精査も必要だ。スポンサーである日本企業との協議をはじめ、さまざまなステークホルダーが絡むこの融資契約をタイトなスケジュールの中、まとめ上げた。

「融資するだけでなく、案件形成の初期段階からインドネシア政府と課題を共有し、議論して解決していく。インドネシア政府と日本の民間企業との橋渡しの役割も担いました」と、一歩踏み込んだ形でプロジェクトを動かすことができるのは、政府系金融機関であるJBICだからこそと振り返る。

インドネシア・ムアララボー
地熱発電拡張事業に対する
プロジェクトファイナンス
インドネシア・ムアララボー地熱発電拡張事業に対するプロジェクトファイナンスの図 インドネシア・ムアララボー地熱発電拡張事業に対するプロジェクトファイナンスの図

予測が難しい地熱発電事業。融資契約の内容も複雑に

白濱と共に、ムアララボー地熱発電拡張事業への融資交渉を進めたのは、入行4年目となる電力・新エネルギー第1部第3・4ユニット(当時)の山西みな美だ。入行1年目から拡張前のムアララボー地熱発電所1号機の融資契約管理・案件モニタリングを担当。融資交渉チームのメンバーで唯一、操業中の1号機と拡張事業の両方の契約内容を知る立場から、「今回の融資交渉の一番のポイントは、拡張事業が操業中の1号機に影響を及ぼさないかどうか、でした」と話す。

拡張事業では、追加で高圧の蒸気が必要となるため、既設の1号機と同じ敷地内に新たな井戸を掘る。一般的に地熱発電事業では深さ3000メートルを超える井戸を掘る場合もあり、目に見えない深い地層部分をコントロールするのは難しい。

山西みな美①の画像

JBICの強みを生かし、顧客にとってベストな解決法を提案していけるようになりたいと抱負を語る山西みな美

山西は、かつて海外トレーニー研修でジャカルタ事務所に駐在したとき、最寄りの空港から車で片道約8時間かけて急峻な山間地にある地熱発電の現場を訪れ、現地の技術者から聞いた「地下は生き物」という言葉が忘れられないと語る。現在の技術で予測はできるが、最終的にどうなるかはわからない。だからこそ、1号機に影響が及んだ場合、どう手当てし、影響を最小限に抑えるか、地熱技術の専門家も交えて丁寧に議論を重ね、契約に落とし込んだ。複数の契約が連なり、1本の契約書の分量が400ページ以上に及ぶものもあった。

「年明けに予定されていた日インドネシア首脳会談までの契約成立に向け、契約内容を確認する弁護士とのやりとりなど、これまでの人生で一番忙しい年始でした」と振り返る。

ムアララボー地熱発電所(写真提供:PT Supreme Energy Muara Laboh)の画像

ムアララボー地熱発電所 写真提供:PT Supreme Energy Muara Laboh

インドネシアは世界第2位の地熱資源を持つ地熱大国だ。2030年までの新規電源開発量の50%以上を再生可能エネルギーとし、うち8%を地熱発電とする計画を掲げる。インドネシア政府にとって、天候に左右されず、電力を安定供給できる地熱発電への期待は大きい。

地熱大国インドネシアで日本企業の地熱発電技術を生かす

日本国内において地熱発電の開発に適した場所は限られるなか、地熱発電の技術を持つ日本企業にとって、インドネシアでの事業展開は大きなチャンスだ。白濱は、「ビジネスとして成立するよう不安や懸念を取り除き、側面支援するのもJBICの大きな役割です」と話し、民間企業にとってインドネシアでの展開が、さらなる海外進出の足掛かりになればと期待している。

今回のプロジェクトはインドネシア政府とも協議しながら進める必要があったなか、途中インドネシアの政権交代を挟んだこともあり、契約交渉がタイムリーに進まない時期もあったが、JBICが持つ相手国政府とのチャネルを生かして対話を続けた。「途上国での事業は不確実性が高いなか、相手国政府にアプローチできるJBICの強みを生かし、顧客にとってベストな解決法を提案していけるようになりたい」と山西は語る。

時代と共に変わるニーズに応え、JBICが常に求められる組織であり続けられるようにと、二人とも今回のプロジェクトを通じて得た学びを生かし、その先を見据えている。

白濱学②の画像

インフラ・環境ファイナンス部門 電力・新エネルギー第1部第3ユニット調査役の白濱学

山西みな美②の画像

インフラ・環境ファイナンス部門 電力・新エネルギー第1部第3・4ユニット(当時)の山西みな美

プロジェクト概要

2025年1月、住友商事株式会社および株式会社INPEX等が出資するインドネシア共和国法人PT Supreme Energy Muara Labohとの間で、融資金額約1億3800万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結。本融資は、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、百五銀行の各民間金融機関およびアジア開発銀行との協調融資。協調融資総額は約3億7000万米ドル

本案件に関するプレスリリース
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