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フュージョンエネルギーの実現を目指す京大発スタートアップ。世界の研究機関との連携を深め、「夢のエネルギー」実現へ

わが社のグローバル展開 京都フュージョニアリング株式会社

CO₂を排出しないサステナブルな次世代エネルギーとして注目を集めるフュージョンエネルギー。京都フュージョニアリングはその実現のための総合エンジニアリング技術を武器に、持続可能な未来に挑む。

小西哲之さん①の画像 小西哲之さん①の画像

京都フュージョニアリング株式会社/代表取締役CEO 小西哲之さん 京都大学名誉教授。東京大学工学博士。日本原子力研究所(現量子科学技術研究開発機構)を経て、2003年より京都大学エネルギー理工学研究所教授。専門はフュージョン、先進原子力などのエネルギーシステムの工学。19年に京都フュージョニアリングを共同創業。23年より現職。

脱炭素社会への転換を背景に、かつての夢から実現へ加速

「地球上には今も電気を使えない人々が何億人といます。フュージョン(核融合)が社会実装されれば、誰もが自由に、かつ持続的にエネルギーを使えるようになります」

京都フュージョニアリングの小西哲之代表取締役CEOは、そんな未来を思い描く。研究機関や京都大学で40年以上にわたってフュージョンについて研究を重ねた小西CEOは、周囲の協力を得て2019年に京都大学発スタートアップとして同社を設立。「夢のエネルギー」とも言われるフュージョンエネルギーの実現を目指す。

フュージョンエネルギーとは、水素と同じ元素でありながら構造が異なる重水素と三重水素(トリチウム)を高温でプラズマ状態にし、核融合反応を起こすことで発生する熱エネルギーである。太陽の内部で起きている反応と同様の仕組みを再現するもので、少量の燃料で莫大なエネルギーを生み出すことができる。重水素は海中に豊富に含まれる上、発電時にCO₂を排出しないため、エネルギー問題や脱炭素への切り札だと期待されている。

フュージョンの研究は1950年代から始まり、一時は研究の停滞もあったが、2010年代に入ると状況が一気に動き出す。気候変動を背景にスタートアップが続々と設立。今もなお過熱する開発競争をリードするのが同社だ。
共同創業者4人で始めた会社は、現在は外国籍社員も含む20~70代の約160人に増え、研究・技術者のみならず、商社やコンサルティング会社で経験を積んだ多様なメンバーがそろっている。小西CEOは起業の経緯をこう振り返る。

小西哲之さん②の画像

日本のものづくり技術を生かしたフュージョンサプライチェーンを構築すれば世界で優位に立つことができると小西CEOは語る

「長い間ずっと、フュージョンの実現は20年後、30年後と言われてきました。あと一歩なのにどうして実用化できないのかと考えたときに、技術的な装置だけでなく、『社会的な装置』が必要だと。人を集め、お金を集め、さまざまな専門知識を持った人たちが事業としてプロジェクトを運営していく。それが会社という組織ですよね。これまで大型の科学技術プロジェクトでもこうした組織は存在しなかった。会社を作ればできなかったことができるのではないか、そう考えたのです」

同社の主要な事業はフュージョン関連技術・装置の設計・販売で、製造工場を持たないファブレスだ。顧客は世界の研究機関やフュージョンの実現を目指す企業で、日本のものづくり企業を中心にサプライチェーンの構築を目指す。

「フュージョンエネルギーを実現するには複雑な装置が必要になりますが、日本のものづくりの技術は世界トップクラスです。町工場から大企業までさまざまな企業が持つ技術を組み合わせて装置を作り上げると同時に、世界のフュージョンの課題にソリューションを提供するのがわれわれのビジネスモデル。サプライチェーンを構築した国がフュージョンエネルギー市場で優位に立つことができます。つまり私たちの事業がうまくいけば、日本から世界へフュージョン技術を供給することで今の産油国と同じような地位を得られることになります」

ジャイロトロンはトリチウムなどの燃料をプラズマ状態にし、マイクロ波で1億度以上に加熱することで、核融合反応を起こすために必要な高温状態を作り出す装置の画像

ジャイロトロンはトリチウムなどの燃料をプラズマ状態にし、マイクロ波で1億度以上に加熱することで、核融合反応を起こすために必要な高温状態を作り出す装置

カナダの研究機関と合弁を設立。知見を統合し実証に向けて弾み

とはいえフュージョン技術は1つの国だけでできるものではなく、同社は早い段階から海外との協力体制を築いてきた。21年には英国原子力公社からプラズマ加熱に用いるジャイロトロン装置を受注。同年、英国法人を設立し、JBICによる融資を長期事業資金として活用することで、事業拡大にもつなげた。

22年には米国、24年にはドイツにも現地法人を設立。「長年の経験を通じて、どこの国の誰が何を必要としているかがわかるため、それぞれに足りない装置や技術を念頭に、『売れるもの』を優先的に作ってきました」

さらに24年、カナダ原子力研究所(CNL)との合弁会社Fusion Fuel Cycles Inc.を設立。JBICの支援も活用しつつ、燃料となるトリチウムの処理技術で豊富な経験を有するCNLと協業し、フュージョン燃料サイクルシステムの開発を進める。統合型試験施設「UNITY-2」にて実証を行う計画だ。

京都フュージョニアリングは先述したように、いち早く日本のものづくり技術を生かしたサプライチェーンを構築をしてきた。「われわれが先行できたことで、他国は日本と競争せずに協業しようというスタンス。欧米を中心に協力の申し出を多くいただいています」

2024年に設立したカナダの合弁会社のスタッフたち。テーブルの上にある模型が、同社が開発を進める核融合燃料サイクルシステムの統合型試験施設「UNITY-2」(下の図はその全体像)だの画像

2024年に設立したカナダの合弁会社のスタッフたち。テーブルの上にある模型が、同社が開発を進める核融合燃料サイクルシステムの統合型試験施設「UNITY-2」(下の図はその全体像)だ

UNITY-2の全体像の画像

創業わずか6年で次のユニコーンと期待される存在となったが、苦労も多い。「各国で異なる、科学技術やエネルギー政策、ビジネススタイルを理解した上で対応していかなければなりません」。高度な技術は輸出承認対象でもあり、海外に輸出する許可を得るのもかなりの労力が伴う。技術安全保障や知財確保も強く意識している。「ただ当社には各分野に精通したスタッフがそろっており、複雑な輸出業務をこなせるのでかえって強みになります」

また同社は、2030年代半ばの国内でのフュージョンエネルギー発電実証を目指す産学連携プロジェクト「FAST」を中心的に推進している。小西CEOはまもなく70代。まだまだ現役で国内外を飛び回っているが、未来の主役となる世代への技術継承も進めたいと考えている。

「人類が生き続けるために、地球環境とバランスを取りながら安定的なエネルギーを作って使うシステムを築くのが私自身の目標。生きている間にフュージョンプラントが稼働し、世界に実際に電気を供給しているところをこの目で見たいですね」

京都フュージョニアリング株式会社

2019年 設立
2021年 Kyoto Fusioneering UK Ltd. 設立
2022年 Kyoto Fusioneering America Ltd. 設立
2024年 Kyoto Fusioneering Europe GmbH 設立
2024年 カナダ原子力研究所との合弁会社Fusion Fuel
Cycles Inc. 設立
2025年 東京流通センターに研究開発拠点を開設、同拠点に本社を移転
融資概要

2022年3月、英国法人 Kyoto Fusioneering UK Ltd.との間で、総額65万英ポンド(JBIC分45万5000英ポンド)の貸付契約を締結。25年9月、カナダ原子力研究所との合弁会社であるカナダ法人 Fusion Fuel Cycles Inc.との間で、総額2000万カナダドル相当(JBIC分1000万カナダドル)の貸付契約を締結。本融資を通じて、エネルギーの変革に取り組む日本企業の海外事業展開を支援する

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