JBICストーリー
JBICは2022年にサステナビリティ統括部を新設、サステナビリティを経営やビジネスに実装する取り組みをサポートしている。最前線で向き合う若手職員の水野杏香と野見山 漂に業務のやりがいや難しさについて聞いた。
(左)
JBIC 企画部門
サステナビリティ統括部 第1ユニット
水野杏香
2019年に中央官庁に就職。コンサルティングファームへの転職を経て、23年キャリア採用で入行。サステナビリティ統括部第1ユニットにて、気候変動分野の企画立案や温室効果ガス排出削減量算定、調査業務に従事。立教大学経営学部卒
(右)
JBIC 企画部門
サステナビリティ統括部 第2ユニット
野見山 漂
2024年入行。サステナビリティ統括部第2ユニットにて、循環経済、インパクト分野などのサステナビリティ推進に関する国内外の情報収集・調査および情報発信に従事。北海道大学工学院環境創生工学専攻修士課程修了
短期リスクが高い分野にも中長期的視点でファイナンス
地球環境保全に資する事業への支援を行ってきたJBICは、さらに体制を強化すべく、2022年に2つのユニットで構成するサステナビリティ統括部を新設した。第1ユニットは主に気候変動分野を担当し、第2ユニットは循環経済や自然資本、人権など、気候変動以外のサステナビリティ領域を扱う。両ユニットとも情報収集や調査だけではなく、行内の経営層や営業部門に向けて積極的に情報発信を行い、サステナビリティを浸透させていく役割を担う。
「サステナビリティはCSR(企業の社会的責任)的な側面を超え、戦略としてビジネスに組み入れられていく過渡期にあります。投資効果が出るまで時間がかかる分野なので、中長期的な視点でファイナンスできる政策金融機関との親和性は高いと考えています」
そう語るのは、第1ユニットに所属する水野杏香だ。水野は、気候変動分野における脱炭素化に向けた企画立案や温室効果ガス(GHG)排出削減量の算定、国内外の動向調査などに携わる。地球環境保全への貢献を確認する「地球環境保全業務」(GREEN)の認定も重要な業務の1つだ。
気候変動対策に正解があるわけではないが、その解像度を上げるべく、情報収集や議論を怠らないよう心がけていると水野は言う
第2ユニットで、気候変動分野以外のサステナビリティ関連の企画や調査を担当する野見山 漂によれば、循環経済とは、資源を効率的に循環させつつ経済成長を目指す新しい経済の仕組みだ。「循環経済はこれからビジネスとして広がっていく段階です。現状ではコストやリスクが高く民間セクターだけでは進めにくい領域ですが、JBICがリスクを引き受けることで、民間資金を呼び込むきっかけをつくれます」と、JBICとして取り組む意義を語る。
環境工学を専攻した野見山にとって、サステナビリティとビジネスの接点を探る現在の業務は自身の原点とも重なりやりがいがあると言う
サステナビリティをビジネスに統合する機運は高まっているものの、難しさもある。それは、唯一の正解がないという点だ。
「気候変動に対するスタンスは国・地域ごとに異なり、正解は1つではありません。仮に今の判断が正しかったとしても、不確実性の増す世の中で前提条件が1つでも変われば結果も変わり得ます。本当に正しかったかどうかわかるのは10年後かもしれません」と、水野は話す。
だからこそ水野は、国内だけでなく国際的な動向を積極的にフォローし、解像度を少しでも上げられるよう努めている。
野見山は、サステナビリティとビジネスをどう両立させるかを模索している。「環境保全が重要なのは当然ですが、ビジネスとして回る仕組みにしなければ持続しません。環境面のコストをどう事業価値に変えていくか、また収益性とのバランスをどう取るのかが重要になってきます」と語る。
今年1月に米国に出張した野見山は、世界銀行など国際金融機関を訪問し、循環経済の取り組みについてヒアリングを実施した。サステナビリティへの逆風もある中、重要鉱物の循環など経済安全保障の文脈と循環経済を結びつけることで、環境テーマにとどまらない推進力を生み出している姿が印象的だったと振り返る。
積極的な情報発信で組織全体に取り組みが浸透
水野と野見山がともに心がけているのは行内への積極的な情報発信だ。今では各部署から助言を求められることも増えてきた。根気強い働きかけによって、取り組みが徐々に組織全体に浸透していることを実感すると2人は口をそろえる。
23年にキャリア採用で入行し、同部に配属されて4年目となる水野は、「手探りで始めた取り組みがようやく運用段階に入り、軌道に乗ってきた感覚があります。立ち上げ段階に関われたこと自体が大きなやりがいとなっています」と語る。
気候変動の業務を軸にしながらも、今後はインフラや資源関連の案件組成や、審査、リスク管理など幅広い分野を経験したいと水野は言う。「視野を広げて最適解を導く力を身につけたいと考えています」
大学院で環境工学を専攻した野見山は、「正面から環境保全とビジネスの両立に取り組みたい」という思いでJBICへの入行を決めた。希望がかなってサステナビリティ統括部に配属され、3年目を迎えた。
「サステナビリティの領域で次々と生まれる新たなテーマを的確に解釈し、わかりやすく発信することが重要。それが結果としてビジネスへの円滑な取り込みにつながっていく」とし、その仲介者として、海外と日本、民間と公共との間で、サステナビリティを実装していく橋渡しができるのがJBICの良さだと話す。
さらにサステナビリティとビジネスの両立を深めるには、今は自身のビジネスの知見が不足していると感じる野見山は、今後は営業や財務といった業務を経験したいと考える。「企業のビジネス戦略や財務を深く学ぶことで、環境保全へのアプローチをビジネス面からもより深く考えられるようになりたいと思います」
政策金融機関だからこそできるサステナビリティの実装に向け、2人の挑戦は続く。
循環経済など新しい概念を行内に浸透させることもサステナビリティ統括部の重要な仕事の1つだ
JBIC 企画部門 サステナビリティ統括部 第1ユニットの水野杏香
JBIC 企画部門 サステナビリティ統括部 第2ユニットの野見山 漂
2022年6月、ESGポリシーに掲げる「サステナビリティ推進体制の強化」の一環としてサステナビリティ・アドバイザリー委員会 、サステナビリティ委員会およびサステナビリティ統括部を新設。サステナビリティ統括部は企画部門に置かれ、サステナビリティに関する知見・機能を集約、サステナビリティの実現に向けたJBICの取り組みを推進する





