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資源ファイナンス部門

事業環境と重点課題

世界のエネルギー需給バランスは、グローバルなマクロ経済情勢をはじめ、さまざまな要因の影響を受けます。直近では、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の急激な減速は、世界におけるエネルギー需要の低迷と価格下落をもたらしています。特に原油については、2020年3月6日に開催されたOPECプラス会合において、同年4月以降の協調減産合意が見送られたことも原油価格の急落を助長し、その後減産合意に至って以降も、低価格での推移が続いています。他方、エネルギー需給に関しては、2020年4~6月期は急激な需要減退が見られたものの、新型コロナウイルスの感染状況に応じた都市封鎖の緩和や経済活動の再開見通しを踏まえ、需要の緩やかな回復が見込まれており、供給サイドにおいても、適正な価格水準への回復を前提としつつ、中長期的な生産水準の継続が見込まれています。

こうした市場環境を踏まえつつ、COP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)において合意された「パリ協定」で、全ての参加国による温室効果ガス削減目標の提出が義務付けられるなど、地球温暖化に対する関心が高まる中、CO2排出量が少ないエネルギー源が引き続き注目されています。

その一つは、天然ガスです。天然ガスの輸送手段であるLNGに関しては、米国や豪州などで大型のLNGプロジェクトが立ち上がっているほか、新たな供給地であるモザンビークを始めとしたアフリカへの注目が集まっており、LNGの調達先の多角化が進展しています。また、需要面では、中国、インドに加えて他のアジア諸国においても輸入を開始・増大させており、日本の中長期的なLNGの安定供給体制を確保するためには、アジアを含む世界のLNG需給を見据えつつ、価格形態の多様化や仕向地条項の緩和などの販売契約の柔軟性が確保されたプロジェクトやLNG需要創出ビジネスへの積極的な支援など、戦略的取組が求められます。

もう一つは、水素を含む新たなエネルギー源が挙げられます。日本政府は、2017年12月に「水素基本戦略」を策定し、水素を新たなエネルギーの選択肢として提示したほか、「水素・燃料電池戦略ロードマップ」において「国際的な水素サプライチェーンの開発」も目標に立てており、世界的な脱炭素化社会の実現に向けて、水素エネルギーの確保に取り組んでいく点が強調されています。日本のみならず、北米や欧州などでも、各政府が水素サプライチェーンの構築に積極的な支援を準備しており、水素関連での日本企業の国際的な取り組みへの、積極的な支援の必要性が高まっています。

日本の産業において幅広い用途で使用される鉱物資源についても、新興国における需要が引き続き増加していることに加え、脱炭素社会や次世代産業に対応すべく新たなニーズも高まっており、その安定的な供給確保は一層重要性を増しています。鉄鉱石については、量的な確保に加えて、高品位の鉄鉱石を確保していくことも重要であり、銅鉱石についても鉱山の奥地化、高地化、深部化など採掘条件が悪化している中、優良案件の発掘が課題となっています。鉱物資源についても、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた需要の低迷や価格の下落がある一方、経済活動の再開による需要の回復や、新しい生活様式への変化に向けた鉱種ニーズの拡大も見込まれ、世界の鉱物資源の需給バランスの変化が想定されます。こうした中、安定的な資源確保のため、日本企業による資源の権益取得や長期引取のみならず、既存鉱山における追加投資、周辺インフラ整備や操業支援まで含め、積極的に支援していく必要性が高まっています。

JBICの取り組み

JBICは、海外からのエネルギー資源や鉱物資源の安定的な供給確保という課題に応えるべく、2019年度に次のような取り組みを実施しました。

石油・天然ガス

Japan Arctic LNG Japan Arctic LNG
(画像提供:PAO NOVATEK(天然ガス液化設備の完成予想図)

日本政府は、「エネルギー基本計画」(2018年7月3日閣議決定)において、石油および天然ガスの自主開発比率を2030年までに40%以上へ引き上げる目標を掲げており、JBICは、日本のエネルギー安定供給確保・自主開発比率の維持・向上を金融面から支援しています。

JBICは三井物産(株)が(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構と共に設立したオランダ法人Japan ArcticLNG B.V.(J-ARC)との間で、ロシアLNGプロジェクトの権益10%を取得するにあたり、その権益取得資金の一部を対象に融資承諾しました。本件は、三井物産がLNGの引き取りを行う予定であり、日本にとって重要な資源であるLNGの安定確保に貢献するものです。また、本プロジェクトが生産するLNGは、北極海航路を活用し、二大LNG需要地であるアジアと欧州の両マーケットへ販売される見込みであり、アジアにおけるLNGバリューチェーンの構築にも資するものです。

また、JBICは、生産国・消費国の双方が毎年日本に集まり開催される『LNG産消会議2019』において、日本のLNG輸入開始から50周年の節目を迎えたことに触れ、日本の政策金融機関として、40年以上にわたり、日本企業が関与するLNGプロジェクトを支援し、LNG市場の発展に貢献してきたこと、また、今後さらなるLNG市場発展のためにガス・バリューチェーン全体を支援し、ホスト国政府や民間事業者、金融機関と議論を重ね、バンカブルなスキームを構築していく旨を表明しました。

鉱物資源等

ケブラダ・ブランカ銅鉱山 ケブラダ・ブランカ銅鉱山

日本政府は、「資源確保指針」(2008年3月28日閣議了解)を踏まえ、2012年6月に「資源確保戦略」を策定しています。その中で、鉱物資源の安定的かつ安価な供給の確保が日本の国富を生み出す高付加価値・高機能なものづくりの大前提となるとの認識の下、官民のリソースを最大限活かし、資源の確保をより戦略的に進めることとしています。また、「エネルギー基本計画」において、鉄や銅などのベースメタルの自給率を2030年までに80%以上へ引き上げる目標を掲げており、JBICは、日本への鉱物資源の安定供給確保を金融面から支援しています。

日本は銅地金の原料である銅精鉱の全量を海外からの輸入に依存しており、長期安定的な銅資源の確保は喫緊の課題となっています。銅は、電線、電気電子機器、自動車、建材などの幅広い用途で使用され、新興国でのインフラ需要の拡大やハイブリッド車・電気自動車の普及・拡大に伴って、今後も世界的な需要増加が見込まれています。

こうした中、JBICは、日本企業2社が出資しているチリのCompañía Minera Teck Quebrada Blanca S.A.との間で、ケブラダ・ブランカ銅鉱山開発事業を対象として融資を承諾しました。本件は、日本企業が出資参画する銅鉱山の開発および長期安定的な銅精鉱の確保を支援するものです。

また、JBICは、日本の製鉄会社の海外事業展開支援のため、日本製鉄(株)がインド法人Essar Steel IndiaLimited(エッサール)を買収するために必要な資金を対象に融資を承諾しました。エッサールはインド第4位の製鉄会社であり、拡大するインドの鉄鋼需要を日本製鉄が中長期的に取り込むことを支援するものです。

資源国や資源メジャーとの重層的な関係強化

JBICは、資源国政府・政府機関や資源メジャーとの協議・対話を継続的に実施し、日本企業による資源権益取得および資源開発事業の円滑な実施を後押ししています。

ロシア

JBICは、2019年6月、大阪で開催されたG20サミットへのロシア・プーチン大統領参加の機会を捉えて、ロシアの政府系金融機関であるロシア開発対外経済銀行との間で輸出クレジットラインを設定しました。ロシアでは、日本と地理的に近い極東地域を中心として、国民生活水準の向上に資するプロジェクトを中心に多くのビジネス機会が見込まれています。上記の輸出クレジットラインに基づき、2019年9月、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムにおいて、ロシア法人Sayuri LLCがロシア・サハ共和国で実施する温室野菜栽培事業について、北海道総合商事(株)から機器を購入するための融資契約を締結しました。

また、JBICは、2019年6月、ロシアの大手エネルギー会社SUEKとの間で、(株)小松製作所製の建設機械を購入するための資金を融資するための輸出クレジットラインを設定しています。

加えて、2019年9月、ロシアの大手天然ガス生産・販売会社NOVATEKと(株)商船三井との間で、北極圏におけるLNG積替え基地プロジェクトの推進を目的とする協力文書を締結しています。JBICは、これまで、NOVATEKが主導するヤマルLNGプロジェクト向け融資契約の締結や、ロシア政府との継続的な対話を通じ、ロシアにおける資源・エネルギー分野に関する協力を推進しています。

こうした取り組みは、2016年5月の日露首脳会談において、安倍総理よりプーチン大統領に提示された「8項目の協力プラン」における「エネルギー」、「ロシアの産業多様化・生産性向上」、「極東の産業振興・輸出基地化」分野の協力の一環として位置づけられるものであり、日本政府の推進する日露経済関係の深化に寄与するものです。

サウジアラビア

サウジアラビアは世界最大級の石油埋蔵量、生産量および輸出量を誇るエネルギー大国であり、日本にとって最大の原油供給国です。

JBICは、2020年3月、三菱瓦斯化学(株)を最大株主とする日本・サウジアラビアメタノール(株)が、サウジアラビア基礎産業公社(SABIC)と合弁で行うメタノールの製造・販売事業の継続に必要な資金に係る融資契約を締結しました。このプロジェクトで生産されるメタノールの一部は、日本に販売されており、メタノールの全量を輸入に頼る日本にとって、メタノール調達源の多角化に貢献しています。また、日本企業が事業参画するメタノール製造拠点を維持するとともに、サウジアラビアのエネルギー下流分野の振興に寄与するものです。

アフリカ諸国

西アフリカ開発銀行調印式 西アフリカ開発銀行調印式

2019年8月、横浜にて開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の機会を活用し、JBICは、アフリカ諸国や開発金融機関との関係を一層強化するとともに、具体的なファイナンス供与の可能性につき意見交換を行いました。また、西アフリカ開発銀行や南部アフリカ開発銀行と業務協力協定を締結し、日本企業のアフリカ向け事業参画を促進していくことで一致しました。

加えて、JBICは、アフリカ貿易投資促進ファシリティ(JBIC Facility for African Investment and Trade Enhancement3: FAITH3)を開始しました。FAITH3の下、2019年から2021年までの3年間で計45億ドルのアフリカ向け支援を見込み、資源開発プロジェクトを含めた日本企業のアフリカ向け投資に対する支援を一層強化し、アフリカの社会・環境整備に貢献します。

今後に向けて

市場環境が大きな転換点を迎えている資源分野では、中長期的な資源需給のタイト化が懸念されています。また、資源産出国の財政が逼迫し外国企業による投資促進が期待される一方で、地政学リスクの高まりなどの不確実性は高まっています。JBICとしては、日本の公的機関としてのステータスを活かしつつ、日本企業による資源権益の取得・開発を積極的に支援することにより、資源の安定確保に貢献していきます。

LNG市場の変化に則したファイナンスの組成

LNGに関しては、当面の需給の緩和、将来的なエネルギーミックスおよび電力・ガス市場自由化によるLNG需要見通しの不透明感から、日本の電力・ガス会社は、LNG調達先の多角化とともに、LNG取引における価格決定方式の多様化、仕向地条項撤廃といった柔軟性・流動性を求めています。このような状況下、日本政府は2016年5月に発表した「LNG市場戦略」にて、流動性の高いLNG市場の構築を謳い、「エネルギー基本計画」や「新国際資源戦略」(2020年3月)においてもそのための取り組みを継続させることが謳われています。実際、日本の電力・ガス会社などはアジア諸国などでのLNG需要創出ビジネスにも取り組み始めており、JBICとしても、日本企業の上流投資やLNGプロジェクトに加えて、こうしたLNG需要創出ビジネスについても、金融面から支援を検討していきます。

エネルギーバリューチェーンの構築および新たな資源・エネルギー源の確保

新たな市場環境に対応する資源プロジェクトの推進のためには、成長分野や新領域への取り組みが重要です。具体的には、主にアジア地域全体でのエネルギー安全保障のために、Gas-to-Power*1やLNG受入基地建設などの関連インフラ整備などを支援していきます。また、従来の石油・天然ガスや鉱物資源に加え、イノベーションを支える新たな戦略物資の確保、および脱炭素社会を見据えた水素を始めとする新たなエネルギー源の確保に向けた、日本企業の取り組みを支援していきます。特に、水素に関しては、2020年1月の「株式会社国際協力銀行法施行令の一部を改正する政令」に基づき、先進国における水素の製造・輸送・供給・利用に関する事業についても、輸出金融および投資金融で支援できるように対象分野が拡充されました。また、JBICにおいて、水素を重要な資源として新たに追加し、水素に関する権益取得・開発や輸入事業については資源金融の適用が可能となっています。また、ロボットやAIなどの普及に代表される第四次産業革命、また次世代自動車がもたらすイノベーションにより今後世界の製造業の再編や産業構造の転換が予想されます。かかる状況下、JBICは、例えば鉱山事業におけるデータのクラウド化、自動操業などによるさらなる生産性の向上や、イノベーションを支える新たな戦略資源物資の確保と安定的なサプライチェーンの確保に向けた取り組み強化のための検討も進めていきます。

経済フロンティアにおける取り組み強化

資源調達先の分散化の観点では、特に石油・天然ガスおよび鉱物資源などの「最後のフロンティア」として期待されているアフリカや南アジア地域において、日本企業による権益取得や資源の引き取りに結びつく資源開発プロジェクトを積極的に支援していきます。

とりわけ、アフリカの資源開発プロジェクトは、実施国での雇用創出および外貨獲得効果に加え、関連のインフラ開発や産業振興の推進など、持続的な成長にも寄与するものです。JBICは、積極的なリスクテイクや国際機関、第三国との連携を通じて、資源開発をはじめとするアフリカにおける日本企業の海外事業展開を支援していきます。

資源国との関係強化のためには、資源開発プロジェクトでの協力のみならず、相手国のニーズに応じて、インフラ整備、産業の高度化、雇用創出、技術移転、再生可能エネルギーや省エネルギーなどの環境負荷軽減分野を含めた包括的かつ継続的な協力関係の構築が必要です。JBICは、資源国におけるインフラおよび製造業などのプロジェクト向け支援を含め総合的な取り組みを通じ、資源国政府との重層的かつ良好な関係を維持・強化していきます。

 

注釈
  1. *1発電施設とガス関連施設を一体として開発・運営すること。
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