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エクイティファイナンス部門

エクイティファイナンス部門長 佐久間 佳寿子の写真

近年、国際社会は、AIの急速な進展による産業構造の転換や、DXの加速に加え、地政学情勢の変動や各国の産業政策の見直しを背景に、大きな変化の局面を迎えています。日本政府においても、日本成長戦略本部等での議論をふまえ、AI・半導体および資源・エネルギー分野等の戦略領域への重点投資や、スタートアップ育成5か年計画に基づくイノベーション創出の強化が進められています。加えて、中東情勢の緊迫化を契機として、POWERR Asia等を通じたエネルギー安全保障の強化や、サプライチェーンの再編・強靱化の重要性が一層高まっています。こうした中、日本企業が海外市場での競争力を維持・強化し、新たな成長機会を獲得していくためには、従来の融資だけでは対応が難しいリスクの高い領域に対して、長期的な視点でリスクマネーを供給していくことが不可欠となっています。脱炭素化、デジタル化、エネルギー転換といった構造変化への対応のみならず、新興企業による技術革新や新産業の創出を支えていくことも、JBICに期待される重要な役割であると考えています。

エクイティファイナンス部門では、第5期中計に基づき、「持続可能な未来の実現」および「日本の産業の強靱化・創造的変革の支援」を軸として、出資業務を推進してきました。また、日本戦略投資ファシリティ等の枠組みを通じ、経済・国家安全保障上重要な分野における日本企業の海外展開を金融面から支援する役割も担っています。具体的には、再生可能エネルギーに関わるプロジェクトやJBIC IGとの連携によるファンド投資を通じて、新たな産業や技術の育成に取り組んできました。加えて、2024年10月にはスタートアップ投資体制を強化し、革新的な業務やビジネスモデルを有する企業への支援を本格化しました。その結果、スタートアップ分野における取り組みは、2026年5月時点で5件の投資を実行するなど、着実な成果が現れています。今後も、有望な技術を有する企業への支援を通じて、イノベーション創出と産業競争力向上に貢献していきます。

中計の最終年度に当たる2026年度は、エネルギー安全保障やサプライチェーン強靱化といった政策課題への対応もふまえ、戦略的なリスクテイクを一層強化していきます。併せて、投資先企業へのエンゲージメントや共同投資家、関係政府等との連携を通じて、案件形成力と付加価値創出力を高めていきます。当部門は、リスクマネー供給にとどまらず、日本と世界、官と民をつなぐ役割を担うことで、日本企業の持続的成長と産業の創造的変革に貢献していきます。

エクイティファイナンス部門長
佐久間 佳寿子

部門の概要

  • 日本企業によるM&Aや海外企業との事業提携等を出資により支援
  • 海外での新たな事業への取り組みに対する出資による支援
  • 海外で新たに事業を行うスタートアップ等への投資
  • JBIC IGとの連携によるファンドを活用した出資業務
  • 過去5年間の出資承諾実績額:約1,700億円

エクイティファイナンス部門は、リスクマネー供給強化に対応する出資案件・証券化に関する業務を行っています。

先進技術の獲得や新たなビジネスモデルの展開、グローバル・サプライチェーンの強化や構築を目指す日本企業のM&A案件、海外での新規事業のスタートアップを出資により支援しています。

また、これまで取り組んできたさまざまな投資案件やその形成において培ってきたノウハウやネットワーク、ブランド力を活用し、(株)JBIC IG Partners(JBIC IG)とも連携し日本企業の新たな価値の創造に取り組んでいます。

強み

  • これまでの海外事業への出融資を通じた知見を活用したJBICによる投資先へのサポート
  • 外国政府との関係や政策金融機関の立場を有する投資パートナーとしての対応力
  • 成長支援に強みを持つ(株)IGPIグループ(IGPI)とJBICが設立したJBIC IGや、JBIC IGと連携する現地の投資パートナーからの支援

外部環境認識

Summary:
戦略分野投資と供給網再構築が加速する中、エネルギー安全保障の強化と制度整備が進展。サプライチェーン強靱化と新規事業創出を支えるリスクマネー需要が拡大。

日本政府は、日本成長戦略本部等における議論をふまえ、AI・半導体、資源・エネルギー分野等の戦略領域への重点投資や、スタートアップ育成5か年計画に基づくイノベーション創出の強化を進めています。さらに、2026年2月以降の中東情勢の緊迫化を受け、POWERR Asia等を通じたエネルギー安全保障の強化が進展する中、日本の資源調達・供給体制の再構築が重要課題となっています。また、政府は経済・国家安全保障上重要な分野における投資を後押しする観点から枠組みの整備を進めています。

このような中、サプライチェーンの強靱化や新規事業創出に取り組む日本企業に対するリスクマネー供給の重要性が高まっており、その担い手としての政策金融機関であるJBICへの期待も一層大きくなっていることを認識しています。

成長戦略

Summary:
出資とエンゲージメントを通じ、日本企業の海外展開と産業競争力強化を推進。戦略投資やスタートアップ支援、パートナー連携により持続的な価値創造を実現。

当部門では、中計における重点取組課題に沿い、日本企業の海外展開および産業競争力強化に資する出資業務を推進しています。

具体的には、再生可能エネルギーや資源分野、海外における産業プラットフォーム構築、戦略的M&Aを通じた技術獲得等に対するリスクマネー供給を強化しています。これらは、政府が推進するエネルギー安全保障や先端分野への投資拡大の方向性とも整合的な取り組みです。

また、スタートアップ投資については、スタートアップ育成5か年計画の背景もふまえつつ、海外展開を志向する日本発スタートアップや海外成長企業への出資を通じ、新産業創出への関与を拡大しています。加えて、日本戦略投資ファシリティ等も活用し、経済・国家安全保障上重要な分野における日本企業の海外展開を金融面から支援します。また、JBIC IGおよび現地パートナーと連携したファンド投資を通じて、投資先企業と日本企業の協業促進や付加価値創出にも注力しています。今後も出資とエンゲージメントの両面から、持続的な価値創造を実現していきます。

PROJECT HIGHLIGHT

米国法人TeraWatt Technologyへの出資
―日本発スタートアップ向け出資―

「TeraWatt Technologyの日本国内における生産拠点。国内製造によるサプライチェーン強化とエネルギー安全保障への貢献が期待されている(提供:TeraWatt Technology)」の写真TeraWatt Technologyの日本国内における生産拠点。国内製造によるサプライチェーン強化とエネルギー安全保障への貢献が期待されている(提供:TeraWatt Technology)

JBICは、日本発スタートアップである米国法人TeraWatt Technology Inc.(本社:米国カリフォルニア州、共同創業者兼CEO:緒方 健)に対して出資を行いました。同社は日本のものづくりの強みを生かし、超高エネルギー密度・高い安全性・優れた価格競争力を兼ね備えた次世代電池の開発・製造を手掛けています。また、UAV(ドローン等の無人航空機)・eVTOL(電動垂直離着陸機)・ESS(定置用蓄電池)・EV(電気自動車)を含む各種モビリティ等、国家安全保障や社会基盤を支える幅広い分野で電動化を推進しています。

本出資は、2024年10月に策定したスタートアップ投資戦略に基づく出資です。同社のグローバル展開を金融面から支援することで、脱炭素社会の実現やエネルギー安全保障の強化に貢献し、ひいては日本の産業の国際競争力の向上およびスタートアップ・エコシステムの発展に資することを目指します。

Voice

「エクイティ・インベストメント部所属のスタートアップ投資チーム」の写真エクイティ・インベストメント部所属のスタートアップ投資チーム

本件は、JBICとして新たに立ち上げたスタートアップ投資の枠組みにおける初期案件でした。従来業務とは異なる意思決定のスピードや評価軸に対応するために、業界動向や投資慣行をキャッチアップしつつ、新たなオペレーションを構築しながら検討を進めました。特にディープテック特有の技術評価や組織力の見極めについては、経営陣、外部専門家や投資家との対話を重ね、仮説検証を繰り返しながら理解を深めました。

TeraWatt Technologyは研究開発と量産技術を一体で磨き、日本の製造力を基盤にグローバル市場に挑んでいます。同社の株主として経営陣と密に連携しながら、JBICの海外ネットワークや産業界とのつながりを生かした海外展開支援を通じて、その挑戦を後押しできることに大きな意義とやりがいを感じています。

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