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2014年9月19日
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:渡辺 博史)は、18日、「海外展開支援融資ファシリティ」*1の一環として、三井物産株式会社(以下「三井物産」)、フランス共和国法人GDF Suez S.A.の子会社であるベルギー王国法人Electrabel S.A.(以下「Electrabel」)及びモロッコ王国(以下「モロッコ」)法人Nareva Holding S.A.(以下「Nareva」)が出資するモロッコ法人Safi Energy Company S.A.(以下「Safi」)との間で、サフィ石炭火力発電プロジェクトを対象として、融資金額約718百万米ドル及び約147百万ユーロ(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*2による貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行、三井住友信託銀行株式会社の本邦金融機関を含む民間金融機関*3及びイスラム開発銀行との協調融資によるもので、協調融資総額は約2,107百万米ドル相当です*4。
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本プロジェクトは、Safiが、モロッコの首都ラバト南西約300kmに位置するサフィ地区において、発電容量約1,250MW(625MW×2系列)の超々臨界圧石炭火力発電プラントを建設・運営し、完工後30年間に亘ってモロッコ電力・水公社(Office National de l'Electricité et de l'Eau Potable)に対し売電するもので、JBICが本融資により本プロジェクトを支援することは、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものです。
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本プロジェクトはJBICが支援する初の超々臨界圧石炭火力発電案件であるとともに、アフリカ大陸初となる超々臨界圧石炭火力発電案件です。日本政府は、本年6月に改訂した「インフラシステム輸出戦略」において、公的金融によるインフラの設計・建設・運営・管理を含むシステムの受注や事業支援の強化を、また、同じく本年6月に改訂した「エネルギー基本計画」において、新興国・途上国を中心にCO2排出抑制にも資する高効率火力発電への発電設備の転換などを促進するための支援の実施を謳っている他、昨年11月に発表された「攻めの地球温暖化外交戦略」(Actions for Cool Earth:通称「ACE」)において、気候変動分野における開発途上国支援を表明しており、本件はこうした政府の施策にも合致するものです。
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第5回アフリカ開発会議(TICAD V)において、日本政府より官民協力の上、アフリカ地域への貿易投資を拡大していく旨が表明されたことを踏まえ、JBICは、アフリカ地域の民間セクター主導の成長促進やインフラ整備の促進を支援するため、「JBICアフリカ貿易投資促進ファシリティ」*5(JBIC Facility for African Investment and Trade Enhancement:通称「FAITH」)を創設しており、本件はFAITHの下での支援案件となります。また、近年モロッコでは、経済成長等により年平均約7%の電力需要の増加を記録しており、本プロジェクトは、同国において重要な電力供給源となることが期待されています*6。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、多様な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業による海外インフラ事業展開に貢献し、日本の産業の国際競争力の維持・向上を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 2014年7月1日付お知らせをご参照ください。
- *2 プロジェクトファイナンスとは、主にプロジェクトのキャッシュフローを担保とする融資スキームのことです。
- *3 他の協調融資銀行は、ビー・エヌ・ピーパリバ銀行、クレディ・アグリコル銀行、ソシエテジェネラル銀行、スタンダードチャータード銀行、及びモロッコ現地金融機関であるAttijariwafa Bank、及びLa Banque Centrale Populaireです。
- *4 民間金融機関融資の一部には独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による保険が付保される予定です。
- *5 2013年6月3日付お知らせをご参照ください。
- *6 なお、JBICは、潜在的なビジネス機会の大きいモロッコとの間で、両国間の経済関係強化を図るべく、2011年3月に包括戦略パートナーシップに係る覚書を締結しています。2011年3月8日付プレスリリースをご参照下さい。