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INTERVIEW 未来を見据えたJBICの業務革新

時代の変化に応じながら、JBICがその役割をさらに果たすために、今回の法改正は行われた。今後JBICはどのような変貌を遂げるのか。そして、これからのJBICが果たす役割とは。橋山重人代表取締役専務取締役が語る。

インタビュー 未来を見据えたJBICの業務革新の画像 インタビュー 未来を見据えたJBICの業務革新の画像

JBIC 代表取締役専務取締役 橋山重人 1990年、一橋大学経済学部卒業後、日本輸出入銀行(現JBIC)入行。産業ファイナンス部門産業投資・貿易部長などを経て、2018年に常務執行役員企画部門長、21年に常務取締役に就任。22年6月より現職。

日本企業のグローバルサプライチェーンを発展させ日本の産業競争力を強化

2023年の通常国会で可決・成立した改正JBIC法に先立ち、日本政府は経済安全保障推進法を成立させました。「安全保障」を出発点とし、経済活動における安全を害する行為を未然に防止することを目的とするこの法律には、次の4つのポイントがあります──①重要物資の安定的な供給の確保、②基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、③先端的な重要技術の開発支援、④特許出願の非公開。

なかでも、「重要物資の安定的な供給の確保」と「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保」は、産業競争力の強化という観点から、国内での体制整備だけでなく、日本企業が優位性を発揮できているグローバルサプライチェーンそのものの発展強化が必要です。

事実、日本国内だけでなく世界各地にまたがるグローバルサプライチェーンで活躍し、そこで実績を上げているのが、真に国際競争力を有する日本企業の姿です。したがって、この部分を強化することは日本の国益に直結する──この発想が、今回のJBIC法改正の根幹にあります。

日本の産業を取り巻く環境は大きく変化しています。外部環境では、効率性重視のグローバルサプライチェーンが構築されてきた中で、昨今、国家間の不十分な相互理解に起因する経済的な紛争が表面化している実情があります。さらには、緩やかなブロック経済化への回帰も想定されています。

その一方で、国内市場には成長性の限界が見えています。少子高齢化の進展による「人口オーナス」(生産年齢人口に対して、14歳以下と65歳以上の従属人口の割合が上回ること)に表象されるように、足下の潜在成長率は低い。こうした点から、グローバルな事業展開が、これからの日本の産業競争力の強化において一層重要になると認識されています。

日本企業の競争力と技術革新を企業経済に必要な「資本」の面から後押し

グローバルに活躍している日本企業の大きな特徴として、技術的な優位性を持っている、という点が挙げられます。そこでJBICの役割としては、企業経済に必要な「資本」「労働」「技術」のうちの「資本」を補完することで、世界市場における日本企業の活躍を一層後押しするとともに、さらなる技術革新をも後押しすることが期待されています。

例えば、半導体のサプライチェーンは世界中に張り巡らされていますが、なかでも素材や製造装置の市場では、日本企業が圧倒的な技術力に基づく競争力を有しています。そうした企業の競争力を維持強化するには、日本企業への支援に加え、日本企業が構成員の一翼を担うグローバルサプライチェーン全体を強靱化する必要があります。このような観点から、JBICによる外国企業への融資が可能になりました。
▶▶▶ 法改正のポイント❶

また、さまざまな世界課題の中でも、特に喫緊の課題である気候変動対策においては、温室効果ガス削減、気候変動と連動するエネルギー、水や土壌、インフラ整備などの面で、技術革新によるブレークスルーが不可欠です。優れた技術を持ち、ゲームチェンジャーとなりうる企業がさらに成長するために、JBICとしても、そのリスクテイクを積極的にサポートします。
▶▶▶ 法改正のポイント❷

さらに今回の法改正により、国際協調の下でウクライナ支援に参画する観点から、国際機関と連携して将来的な本格復興に向けた支援を継続できる体制も整えられました。
▶▶▶ 法改正のポイント❸

橋山重人さんの画像

先の見えない世の中でも臨機応変に対応する

時代のニーズに応じて、JBICはこれまでもその役割や機能を多様化させてきました。地政学的リスクが増大し、それに伴う世の中の変化も大きく、「次に何が起こるかわからない」という予見性の低い中でも、その状況に対応できるような柔軟性を備え、幅広いスコープをもって業務を進めることができるようになった。これが、今回の法改正の特徴と言えます。

JBICの役割は、JBIC法第1条にあるように、「日本にとって重要な資源の海外における開発および取得の促進」、「日本の産業の国際競争力の維持および向上」、「地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進」、そして「国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処」の4点です。

現在、世界秩序が急激かつ根本的に変化する中、これまで以上に機動的で、効果的な活動が、JBICに求められています。世界中に情報ネットワークを構築しつつ、公的機関と金融機関という2つの視点から、日本企業の海外事業戦略と世界各国の国益との両立の実現を目指していかなくてはいけません。

そのためには、金融機関としての機能に加え、世界各国のあらゆる業種にアクセス可能な立場を活かし、国内外をつなぐ仲介機能や情報提供機能も強化していく必要があると考えています。

ルールは変えればいい。ルールに縛られるな、ルールを縛れ

JBICは、その理念として「海図なき世界情勢の中で、日本の力で未来を築く『羅針盤』でありたい」と掲げています。ただ、「羅針盤」であると同時に、その先を見つめるという姿勢が、今まで以上に必要になっています。

気候変動における国家間相互尊重に基づく現実的な共通解決策模索と実施、再生可能エネルギー事業における人権配慮、デカップリング進展過程における日本の産業の国際競争力維持強化のためのレベルプレイングフィールドの設定等、課題は複雑化してきています。事実を迅速かつ正確に確認し、仮説を立てながらプロジェクトを進めることが重要です。技術を含めた各業界の競争条件に自らが没入した上で、解決策を柔軟に編み出していくことが、今後JBICとして発揮すべき役割です。

そのためには、自由な発想で、新鮮な気持ちで事実を受け止めて、そして予測される将来から帰納していくことが大切です。前例から学ぶことももちろん必要ですが、そこに囚われてはいけません。私はいつも「ルールは変えればいい。ルールに縛られるな、ルールを縛れ」と職員たちに言っています。

私たちは自らの立ち位置を確認しながらも、その位置を常に変えていく必要があります。柔軟性、多様性、積極性を持って、世界の最前線で起きている問題に対して自らが確認し、意識を向け、解決策を考える──。その姿勢が、一人ひとりの職員にも、JBICという組織自体にも、今まさに求められています。

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