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若手職員が語るアフリカ事業の動かし方

特集アフリカ 多様性と可能性の大陸

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キーパーソンの見極めと信頼関係が成功のカギ。さまざまな障壁も、人のつながりで乗り越える

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現地では国ごとの政治事情や商習慣に寄り添い、粘り強くそして柔軟に向き合う姿勢が成果への近道となる

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欧州や中国が先行するなかで、日本の出遅れに危機感。TICADを機に具体化するべきタイミング

若手職員が語るアフリカ事業の動かし方①の画像 若手職員が語るアフリカ事業の動かし方①の画像

JBICには「アフリカで仕事がしたい」という強い情熱を胸に、困難にもひるまず働く若手職員たちがいる。彼らの魂を揺さぶる何かが、アフリカにはあるのかもしれない――。今回登場するのは、フランス語圏アフリカを担当するパリ駐在員事務所の森岡隼也と平戸 瞳、そしてアフリカ向け案件を担当する鉱物資源部のオタイベ ジェニファー舞の3人。バックグラウンドや役割も異なる彼らに、アフリカ案件の魅力や難しさ、そして現場で実感する手応えについて率直に語り合ってもらった。

森岡 私は学生時代からずっとアフリカに関心があり、大学でもコンゴ民主共和国やザンビアの政治・ガバナンスについて研究していました。JBICを志望したのも、「アフリカに関わる仕事がしたい」という思いがあったからです。

平戸 私がアフリカに関心を抱いたのは、学生時代に父とモロッコを旅したことがきっかけでした。学んだ異言語をツールに自分の知らない世界を新たに切り拓いていく感覚に魅了され「フランス語を活用してアフリカに関わる仕事がしたい」と考えるようになったことが、JBICを志す原点になりました。

オタイべ 私はナイジェリアにルーツがあって、幼少期から「将来はアフリカにビジネス面で貢献できる仕事がしたい」と思ってきました。これがJBICを志望するきっかけとなり、今はアフリカの案件を幅広く担当しています。そうした思いが実際の仕事として形になっていると実感しています。

森岡 私が入行した6年前はアフリカへのイメージも「治安が悪い」というようなネガティブなものがまだ先立つ印象でしたが、直近は「潜在性のアフリカ」というポジティブ視点で入行を志す人が増えていると思います。

森岡 隼也①の画像 森岡 隼也①の画像

JBICパリ駐在員事務所 駐在員 森岡隼也

平戸 そうなんです。私もアルジェリアに出張する前は、メディアなどで見聞きする限りの情報しかなくて、正直「少し怖い国」という先入観を持っていたところがありました。でも実際に足を運んでみると、首都アルジェの街並みは整然としていて、治安面での不安を覚えるような場面もほとんどありませんでした。現地の政府関係者と対話してみると、国策にも一貫性があり、自国で自国流に国を発展させようという気概も強く感じられました。

オタイべ 私は幼少期からナイジェリアへ渡航していたこともあり、アフリカ特有の煩雑な雰囲気といった現地のリアルな様子を見てきたため、実務に入る際にもある程度の覚悟はしていました。それでも現地のビジネスパートナーが面談に現れず、その後もなかなかコンタクトが取れない状況が続くなど、想定外の出来事に苦戦する場面がありました。

ナイジェリアの最大都市ラゴスでは渋滞が日常化している。急速な都市化とインフラ整備の遅れが交錯する光景だの画像

ナイジェリアの最大都市ラゴスでは渋滞が日常化している。急速な都市化とインフラ整備の遅れが交錯する光景だ

森岡平戸 現場ではよくあることかもしれませんね。

オタイべ そこから数カ月、複数の関係者をたどりながら、あらゆる手段を尽くしてようやく再びコンタクトを取ることができました。こうした経験を通して、現地の商習慣やコミュニケーションのスタイルに、こちらから歩み寄ることも1つの解決策であると痛感しました。

森岡 もちろん、すべての国がそうだというわけではありませんが、アフリカで仕事を進めるために共通して言えるのは、「キーパーソンを通さなければ物事が前に進まない」ということです。誰と向き合うかによって、案件の進捗に大きな差が出てしまう。実務能力の高さや人脈の広さは、必ずしも肩書や年齢といった表面的な情報では測れないですし、組織内での力関係も外からは見えにくい。だからこそ、「誰がキーパーソンなのか」を見極めるには経験が求められますし、ときにはあらゆるルートや情報源を駆使していく必要があります。

平戸 その上で、相手にとっての「キーパーソン」として、こちら側も認識される存在であることが大事だと思っています。「JBICと仕事をするなら、まずは平戸に連絡すれば大丈夫」と現地の方に思ってもらえるような関係性を築くことが理想です。自分が見つけたキーパーソンと、互いに信頼し合える関係を時間をかけて深めていくプロセスは、難しさもありますが、その分とてもやりがいがありますね。

森岡 各種フォーラムや国際会議に積極的に参加して、現地の関係者と顔を合わせておくことは本当に大切だと感じます。今年5月に、JBICとして初めてコートジボワール向けのクレジットラインの融資契約を締結できたのですが、そのきっかけも2024年に参加したある国際会議で同国財務予算省の方とたまたま隣り合ったことでした。

オタイベ ジェニファー舞①の画像 オタイベ ジェニファー舞①の画像

JBIC資源ファイナンス部門 鉱物資源部 係員 オタイベ ジェニファー舞

オタイべ 私も国際会議などの場に出席する際は、キーパーソンと思われる相手とは接点を持つように意識しています。そういう偶然のようなチャンスが転がっているのが、アフリカの面白さであり、刺激です。最近、自身が担当したケニア・メネンガイ地熱発電案件のサイト実査と併せて、日本企業の新たなビジネス機会を発掘すべく、周辺国への出張をしてきました。

平戸 ケニアの案件は、かなり苦労したと伺っています。

オタイべ はい、私が入行する前から始まっていた案件で、最初に相談を受けてから融資契約締結まで7年7カ月を要しました。JBIC側の担当者もこれまでに複数名交代していて、私はそのラストスパートの部分を引き継いだ形です。案件承諾まで時間を要した理由の1つがケニア政府の政権交代でした。

平戸 これもアフリカ特有の事情かもしれませんが、大統領選挙は案件を進める上で、対応に注意が必要な時期でもありますよね。すべてが一度リセットされるような場面は、なかなか厳しいものがあります。

私が担当した2023年の太陽光発電事業と小学校向けランタン電化事業への融資は、JBICとして初のベナン向けプロジェクトであり、「GREEN(地球環境保全業務)」の枠組みの下で初めてアフリカ政府向けに実施した案件でした。ここでも、許認可プロセスで何度もやりとりを重ねるなど、同様に時間と労力のかかるプロセスを経験しました。

JBICが支援する、ケニア・メネンガイ地区での地熱発電所建設プロジェクトの現場の画像

JBICが支援する、ケニア・メネンガイ地区での地熱発電所建設プロジェクトの現場

森岡 担当者が変わるという点も含めて、大統領選挙後の3~4カ月間は、業務がまったく進まなくなることもあります。実際、コートジボワールでも今年10月に大統領選を控えており、その時期に交渉が重なるとスケジュールが破綻するのは明らかでした。この点を相互認識し、アフリカ基準ではかなり急ピッチで案件が進んだのですが、同国の財務官僚の方々が非常に優秀で、大きな助けとなりました。

現地の実務部隊の方々にJBICの役割を理解してもらう際にも財務官僚の方々がうまく橋渡しをしてくださり、スムーズに進めることができました。

平戸 23年の案件に続き、現在もさらなる協業案件について協議を続けています。すでに荒波に揉まれてきた経験があるからこそ、今後はより現地にとってもメリットの大きい提案やアプローチができるのではないかと考えています。

一方で課題と感じるのは、JBICがアフリカ案件にも積極的に取り組んでいることや、日本企業の活動を支援する多様な金融メニューがあることが、十分に認知されていない点です。アフリカにおける事業展開には高いポテンシャルがあることを、より多くの日本企業に実感してもらえるよう、JBICの取り組みを広く発信し、実績を積み重ねていきたいと考えています。

ベナン、アルジェリア、そして昨年のCOP29(第29回気候変動枠組条約締約国会議)の際に覚書を締結したモロッコでのプロジェクト実現に向けて、アフリカ担当者として着実に追いかけていくつもりです。

平戸 瞳①の画像 平戸 瞳①の画像

JBICパリ駐在員事務所 駐在員 平戸 瞳

オタイべ 課題感という点では、日本全体として、アフリカ進出に関しては他国と比べて慎重すぎる面があるように感じています。アジア諸国を見ても、中国やインドはすでに一定のプレゼンスを築いていますし、韓国も重要鉱物資源の確保を主眼にアフリカ向けの取り組みを強化していると聞きます。さらに最近では、インドネシアもアフリカとの経済関係強化を目的としたフォーラムを開催するなど、関与を活発化させています。

そうした動きを見ていると、「まだ検討段階」では遅すぎるのではないか、今を逃せば完全に出遅れてしまうのではないか、という危機感を抱いています。だからこそ、私自身もJBICでの業務を通じて、できるだけ多くの日本企業がアフリカに関心を持ち、動けるように働きかけていきたいと思います。いずれはナイジェリアの案件にも関わっていきたいですね。

森岡 個人的な感触ですが、日本企業が関心を持ち始める2年ほど前のタイミングで、欧州ではすでに注目され始めている国があるんです。日本側がまだ二の足を踏んでいる間に、フランス系の企業などでは「もう進出していい」という判断が出ているようなケースですね。そうした国に早い段階で目をつけて、キーパーソンの特定や関係構築に取り組み、いずれ日本企業が進出する際の初動がスムーズになるよう下地を整えておく。それは、パリという場所にいるからこそできる大切な役割だと感じています。

TICADを発射台として、覚書にとどまらずアフリカとの関係を多角的かつ深く発展させていく。その一助となれるよう、静かにではありますが熱い気持ちで取り組んでいます。

急成長を遂げるモロッコの商都カサブランカ。再生可能エネルギーやインフラ整備では日本の知見が生きる場面もの画像

急成長を遂げるモロッコの商都カサブランカ。再生可能エネルギーやインフラ整備では日本の知見が生きる場面も


森岡 隼也②の画像

PROFILE

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JBICパリ駐在員事務所 駐在員

森岡隼也(もりおか・じゅんや)

2019年入行。電力・新エネルギー第1部へ配属。経営企画部を経て23年9月よりパリ駐在員事務所に赴任。コートジボワールをはじめ、サブサハラアフリカにおける案件組成・管理を担当。東京大学教養学部卒業

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PROFILE

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JBICパリ駐在員事務所 駐在員

平戸 瞳(ひらと・ひとみ)

2022年入行。エネルギー・ソリューション部にてアフリカ政府向けの案件に従事。24年8月にパリ駐在員事務所に赴任、フランス語圏アフリカ諸国向け融資担当。早稲田大学政治経済学部卒、パリ政治学院メディアコミュニケーション修士

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PROFILE

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JBIC資源ファイナンス部門
鉱物資源部 係員

オタイベ ジェニファー舞(おたいべ・じぇにふぁーまい)

2023年入行。鉱物資源部にてアフリカ諸国の地場金融機関を担当。直近はケニアのメネンガイ地熱発電プロジェクトを担当。慶應義塾大学法学部卒業

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