JBICメニュー閉じる

  • EN
  • 検索閉じる
JBICについて
JBICについて

JBICの役割や組織に関する情報についてご案内します。

閉じる

支援メニュー
支援メニュー

支援メニューについてご案内します。

閉じる

業務分野
業務分野

業務分野についてご案内します。

閉じる

情報発信
情報発信

情報発信についてご案内します。

閉じる

サステナビリティ
サステナビリティ

サステナビリティに関する取り組みをご案内します。

閉じる

プレスリリース
プレスリリース

プレスリリースについてご案内します。

閉じる

IR情報
IR情報

IR情報についてご案内します。

閉じる

定例記者会見(2025年7月10日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

総裁の写真総裁の写真
  • 日時)2025年7月10日(木曜日)15時00分~16時00分
  • 場所)国際協力銀行 本店
  • 説明者)総裁 林 信光
  • 配布資料)定例総裁記者会見

1.2025年度事業運営計画:不確実性を増す国際情勢におけるJBIC 資料:p.1

  • JBICは昨年、2024~2026年度の3年間を対象とする第5期中期経営計画を策定し、2025年度はその2年目に該当します。2024年度における実績(承諾件数)を踏まえ、2025年度の目標について、経営会議、取締役会やアドバイザリーボードとしての経営諮問・評価委員会で議論を行いました。
  • その結果、足元のトランプ政権の発足、中東における地政学的な情勢等、不確実性が一層高まっている厳しい世界情勢状況であるからこそ、第5期中期経営計画で定めた各取組を引き続き推進していくことが、JBICの役割として求められており、JBICに対する期待が高まっている点ではないかという結論に至りました。
  • したがって、2025年度においても、第5期中期経営計画の重点取組課題に沿って、各分野における支援を精力的に行っていく所存です。

2.最近のJBICの取り組み 資料:p.2~13

本章では、第5期中期経営計画の重点取組課題に沿って、具体的な活動をご説明申し上げます。

Ⅰ. 持続可能な未来の実現 資料:p.2~5

  • インドにおける案件事例(再生可能エネルギー):
    インドは2070年までのカーボンニュートラル達成を掲げており、同国における再生可能エネルギーへの投資は、国際収支の恒常的な赤字や国内産業の強化という課題を背景として非常に活発となっています。こうした中、インドを重点国と位置づけている大阪ガスは、同国において再生可能エネルギー事業を展開するClean Max社の事業に参画し、これに対しJBICも共に出資参画しました。同国政府は2030年までに電力の50%を非化石燃料由来にするという目標を掲げており、これは日本全国の電力を全て足した規模に匹敵するほどの挑戦です。本案件は、このようなインド政府の脱炭素化目標に沿う取り組みとなります。
  • ブラジルにおける案件事例(再生可能エネルギー、バイオ燃料):
    ブラジルは、石油やガスなどの資源だけでなく、水力発電やバイオ燃料といった再生可能エネルギーの分野でも資源に恵まれています。世界的にも再生可能エネルギーの導入が進む中で、送配電の効率化はブラジルだけでなく、東南アジアやスペインなど世界的に重要性が高まっており、日本企業の強みが活かせる分野となっています。こうした中、JBICはブラジル政府系金融機関であるBNDESに対し、送電・バイオ燃料プロジェクト等に必要な資金を融資しました。日本とブラジルは経済的・政治的に近い関係にあり、同国はグローバルサウスの大国であることから、外交的にも重要なパートナーです。本案件は、このような日本とブラジルとの関係も踏まえ実現したものです。
  • アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)に関連した取り組み:
    経済成長とゼロミッションの両立が求められるアジアでは、エネルギー需要が今後益々増加し、投資活動が活発化することが見込まれます。そのため「いかに投資をクリーンなものにしていくか」が今後も重要となります。AZECの下でのインドネシアにおけるJBICの支援の一例として、ムアララボー地熱発電の拡張プロジェクトへの融資が挙げられます。地熱発電は日本企業が強みをもつ分野でありますが、日・インドネシア政府間の協働を通じ、本事業の推進を加速させるべくサポートいたしました。また、タイでは、自動車産業を中心に多くの日本企業が進出しており、JBICは省エネ関連投資を推進するプラットフォームとしての「AZEC-SAVE」を立ち上げることで、JCM(二国間クレジット制度)の活用も視野に入れつつ、タイ進出日本企業を含めた現地企業の省エネ化を支援しようと取り組んでいます。そのほか、マレーシアでは、半導体製造やデータセンターの急増により電力需要が増えており、電力ネットワークの強化が課題となっています。このような中、水力発電の適地である同国サラワク州を始め、電力資源が豊富な地域から電力需要が高い国・地域に送電し、ASEANにおける広域な電力融通を実現する「ASEAN Power Grid」構想に関連した支援を行っています。
  • 移行エネルギーとしてのガス関連支援:
    JBICは、先述の再生可能エネルギーだけでなく、ガスも重要な移行エネルギーとして位置づけており、インドネシアやベトナムなどガス資源を有す国においては、現在依存している石炭火力発電所からの転換のためにガス火力発電の導入は不可欠と考えています。ただ、その場合であってもオペレーションの電化やCCS(二酸化炭素回収・貯留)技術を組み合わせ、よりクリーンな運用を目指していくことも重要です。ベトナムにおいてJBICが支援するBlock Bガス田開発事業においては、日本企業が参画する複数の発電所における電力事業を支援することで、同国における天然ガスの上流から下流までのネットワーク構築に貢献しています。
  • 農業分野における支援(ブラジル):
    農業に係る制度は国ごとに異なり支援が難しい分野ですが、農機・農薬などは日本企業が関与できる領域です。ブラジルは世界有数の食糧生産国であり、農薬の需要も世界最大級となっています。JBICは日本農薬が製造する農薬のサプライチェーン強靱化を目的に支援を行いました。
  • 食品分野における支援(米国):
    ハウス食品が米国法人を買収し、プラントベース食品(植物性由来食品)の製造・販売市場に参入するプロジェクトを支援しました。従来、JBICはエネルギー分野が主力の支援分野になりますが、日本の食糧問題や地球環境課題を念頭に、このような食品分野にも支援領域を広げていきたいと考えています。

Ⅱ. 我が国産業の強靱化と創造的変革の支援 資料:p.6~10

  • 鉱物資源(チリ):
    銅は従来のインフラだけでなく、EVや電力ネットワークなど脱炭素社会でも不可欠な資源です。日本企業は中国に次ぐ銅の精錬能力を維持しており、他のクリティカルミネラルとは異なって、銅は精錬を中国に依存していない資源となります。安定的な銅の輸入を確保するため、JBICは主にチリを中心に融資を実施してきました。その例として、鉱物資源における世界有数のサプライヤーであるチリの国営企業CODELCOに対する融資を通じ、日本企業が安定的に銅を輸入できる体制を構築しました。
  • 港湾クレーン(ポルトガル・エクアドル):
    JBICが直近で支援しました三井E&Sは、クレーン製造分野で世界的に活躍しています。港湾クレーンは、近年の米中対立を始めとした世界情勢の不確実性の高まりに伴い、経済安全保障上の観点から重要性が高まっています。このような中、三井E&Sのクレーンは、センシティビティが高まっている国々への展開に加え、オペレーションにおける電化・燃料電池の利用によるクリーン化が期待されています。
  • 半導体薬液(米国):
    JBICは、三菱ガス化学による米国における半導体薬液生産設備の増設に必要な資金を融資しました。半導体分野において、日本企業は半導体の部品・素材・検査機器などの分野で圧倒的なシェアを持っています。台湾企業を始めとして米国における製造能力拡充の動きがみられる中、日本企業の同分野における同国への投資も今後拡大していくと考えています。
  • EV車載用リチウムイオン電池(米国):
    米国で生産されているEV車載用リチウムイオン電池で使用される有機溶媒(DMC・EMC)は、現状ほぼ全量が中国企業からの輸入であり、供給リスクへの懸念があります。このような中、JBICが支援を行いましたUBEの米国法人UCCAは、米国内で初めてDMCおよびEMCの生産を開始するものであり、EVの展開は中国以外では世界的に勢いが鈍化している中でも、相当な需要が見込まれます。
  • なお、今後の米国投資の見通しについて、米国での事業展開には、関税・インフレ・人件費高騰・人手不足などの課題があります。加えて、米国におけるエネルギー資源の豊富さは米国立地拠点の利点の一つでありましたが、IT企業等によるエネルギー消費の急増により状況は複雑化しています。こうした中でも、一定の需要がある分野では日本企業による米国投資の流れは今後も継続される見通しと考えています。
  • スタートアップ投資体制の強化と具体的な出資事例:
    2024年10月より、海外で事業を展開する日本のスタートアップを対象に、産業変革や脱炭素といった分野での投資体制を強化してきました。特に日本国内では資金供給が弱い「ミドル~レイターステージ」の企業に重点的に投資する方針で、JBICが持つ海外ネットワークや顧客基盤を活用し、スタートアップの成長を支援していきます。直近の出資実績としては2件あります。1つ目の事例は、金属廃材の再利用技術を持つSUN METALON Inc.向け出資であり、同社は自動車や製鉄業で発生する油まみれの金属廃材から独自の技術を用いて不純物を除去し、金属廃棄物の再利用を可能とし、金属業界の脱炭素化に貢献しており、JBICによる支援は同社の米国市場等への展開をサポートしていくものです。2つ目の事例は “Peach Cars”のブランド名でケニアの中古車販売事業を行っているCordia Directions向け出資です。日本の車検技術を活用し、中古車の品質を可視化するとともに、安全で透明性の高い取引市場を構築し、日本車の流通促進と将来的な新車市場の拡大を目指すという、非常に面白い取り組みを行っている会社です。
  • 地域金融機関との連携強化を通じたグローバルに活躍する中堅・中小企業支援:
    JBICでは、年間100件以上の支援実績のうち、約半数が中堅・中小企業向けになっており、足元では地域金融機関の顧客企業を対象に、同機関と連携しながら海外展開等の支援を実施する取り組みを行っています。海外拠点が限られる地域金融機関においては海外における顧客の情報が不足しており、顧客である中堅・中小企業の海外進出の障壁となっています。このような中、JBICの海外駐在員事務所のネットワークを活用し、各地における現地プロジェクトのモニタリング情報などをJBICが地域金融機関に対して提供する枠組みによって、地域金融機関との連携を通じた中堅・中小企業の海外展開支援を実現するもので、既に具体的な案件もいくつか生まれてきています。
  • グローバルに活躍する中堅・中小企業の海外展開支援:
    その他の中堅・中小企業向け支援として、太陽鉱工という会社がマレーシアで展開する、廃触媒からモリブデンやバナジウムを回収し再利用する事業への支援が一例として挙げられます。マレーシアには石油化学プラントがあるものの、現地業者では廃触媒の処理が困難である点に同社は注目しました。回収されたモリブデンやバナジウムは電池製造に不可欠な鉱物であり、本事業への支援は日本企業のサプライチェーン強化にも貢献すると考えています。

Ⅲ. 戦略的な国際金融機能の発揮による独自のソリューション提供 資料:p.11~13

  • ウクライナ・周辺国における取り組み:
    これまでも、JBICはルーマニアに対するサムライ債関連の支援や、黒海貿易開発銀行を通じた支援などを実施してきましたが、直近では、スタートアップ企業のインスタリムがウクライナで実施予定の3Dプリント義肢の製造・販売事業に対して支援を行いました。同国では戦争の影響で義足需要が急増しており、同社による3Dプリンターを活用した安価かつ効率的な義足の製造・販売を支援することで、同国の社会課題の解決に貢献しています。また、ヨーロッパの重心が東側へ移行していることや、ウクライナおよび周辺国への支援強化の必要性を踏まえ、JBICは今年度中にワルシャワに新たな駐在員事務所を設置予定です。
  • アフリカ・中東における取り組み:
    2025年8月に横浜で開催予定の「TICAD9(アフリカ開発会議)」を見据え、JBICはアフリカ支援を強化しています。2025年5月には、コートジボワールとの間でGREENクレジットラインを設定し、送配電や渋滞緩和など環境配慮型インフラ案件の発掘を目指しています。中東では、アブダビ国営石油会社(ADNOC)に対して、従来の資源輸入金融に加え、同社事業の電化や再生可能エネルギー事業、次世代エネルギー(水素・アンモニア等)事業の支援も行っています。中東諸国の政府機関は、例えばウズベキスタンにおいてサウジアラビアの開発会社が日本企業と連携して再生可能エネルギー事業を推進している中、非常に活発な動きをしており、我々としても今後も中東諸国との連携を生かして積極的に事業を展開していく所存です。
  • インドにおける取り組み:
    インドではデータセンター開発が急速に進展しています。日本のNTTグループは、世界規模で事業展開する中、米国での実績を踏まえ、インドでも信頼性・安全性の高いデータセンターを展開しています。特にムンバイにおいて本事業は、NTTグループが有する、高速大容量・低消費電力を兼ね備えた新しいネットワーク技術である「IOWN®(注)を活用していく取っ掛かりとして位置づけられています。

(注)「IOWN®」は、NTTの商標又は登録商標です。

参考:JBICによる企業ヒアリング(米国関税措置の影響)結果(2025年5月末時点) 資料:p.14 

  • 米国の関税措置を受け、JBICが現地事務所や業界関係者にヒアリングを実施したところ、多くの日本企業は、関税の影響やインフレ・金利への波及を見極めるため「様子見」の姿勢を示しています。また、既に米国に工場を持つ企業の中では現地生産へのシフトを進める動きもあるものの、サプライチェーン全体を急に変更することは困難であるということが読み取れます。JBICとしても、日米交渉の動向を注視しつつ、設備投資資金等の資金需要の発生に対しては引き続き支援を行っていく所存です。
記者会見等